Top / 事業紹介 / 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」 / 2019年度「男女共同参画社会とジェンダー」リプロダクティブ・ヘルス/ライツとジェンダー

リプロダクティブ・ヘルス/ライツとジェンダー(6月27日、担当:藤田景子)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の11回目の授業が、6月27日(木)5限に行われました。

 今回は「リプロダクティブ・ヘルス/ライツとジェンダー」と題して、看護学部准教授の藤田景子先生をお招きし、母性看護学、助産学のお立場から、女性の性的自己決定権の問題を中心に幅広くこのテーマを論じていただきました。

 まずはじめに、ご自身の助産師としての産婦人科の医療現場でのご経験をもとに、出産経験という幸福感に満ちていると思われがちな産科病棟で接したDV被害者としての出産女性との関わりに触れながら、産科は、望まない妊娠、予期しない妊娠、避妊に協力してくれない加害者によるDV被害といった問題を抱えた女性も多く訪れる場所であり、彼女たちに触れた経験がご自身の現在の研究の原点になっているというエピソードが述べられました。そして、この授業ではそうした女性たちにおいて実現していなかった「性と生殖に関する健康と権利」としての「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という考え方が提起されていった歴史的経緯が、1994年の国連カイロ会議にまで遡って確認され、途上国の多くで今も高い数値を示す妊産婦死亡率の背景に、命がけの行為である妊娠・出産が自らの意思で選択できない女性たちが置かれている現状があることが説明されました。そして、思春期の妊娠が強制されたり、児童婚が行われたり、女性性器切除が文化として強要される世界各地の実情が紹介された後、国際社会でいまだ人権として十分に確立していない女性の性的自己決定権を守ることの重要性が強調されました。さらに日本の現状について、先進国の日本においても必ずしも途上国以上に性的自己決定権が守られているとはいえない実態が、多発している性感染症や20歳未満の人工妊娠中絶の増加などの実例から論じられ、日本においてはいまだに堕胎罪が基盤にあって中絶を犯罪として規定しており、また母体保護法による中絶も、妊娠・出産の当事者である女性のみの意思によっては認められていないことの問題性が鋭く指摘されました。そうした実情を踏まえて、現代の日本では、あらためて女性の性と生殖に関する自己決定権をいかに守り、確立していくかという課題に一人ひとりが向き合うことの大切さや、男性も決してこの問題に無関係ではなく、男女問わずリプロダクティブ・ライツは尊重されなければならないことも説明されました。また、ご自身の携わられた調査の結果から周産期の女性を中心としたDV被害者の実情と、そこから逃れられなくしている家族規範やジェンダー規範の拘束メカニズムの特徴、問題点とその克服に向けた取り組みの重要性についても詳しく論じられ、被害女性がDVから脱却して行く上で、彼女を支える人との関係性が決定的に重要であり、そこに社会の果たす役割の大きさがあることが強調されました。

 学生一人ひとりにとっても、実は身近で真剣な課題でありながら、なかなか十分に認識されてこなかったリプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、ジェンダーの視座に基づき多岐にわたる内容を論じていただいた貴重な時間となりました。

 次回は、静岡県人権同和対策室との連携により、「LGBTとジェンダー①」としてLGBT当事者の方々が製作に関わった映画上映と、渡邉あき先生(当事者)、河合高鋭先生(支援者)を講師にお招きしたトークイベントが行われる予定です。

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