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労働とジェンダー(6月21日、担当:居城舜子)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の10回目の授業が、6月21日(木)5限に行われました。

 今回は、個別領域ごとのジェンダーの問題を扱う各論部分の5回目になります。「労働とジェンダー」と題して、NPO法人男女共同参画フォーラム代表理事、静岡県労働委員会委員で、元常葉学園大学教授の居城舜子先生をお招きして講義をしていただき、最もジェンダーによる差別が激しい労働という領域の課題についてさまざまな角度から論じていただくことができました。

 授業は、「女性労働の現状と課題」が副題として掲げられ、現代日本の女性労働を取り巻く諸問題が多くの統計的データや資料に基づいて、実証的かつ批判的視点から論じられました。とくに女性労働の現状については、量的には拡大しながらコース別雇用管理と非正規雇用の増大の中でより底辺化してきている女性の労働者の実態や、先進国の中でずば抜けて大きい男女間の賃金格差、働く女性の多くが陥っているワーキングプアの深刻な実状などについて、詳しく説明がなされ、法律の整備にもかかわらずまだ残るその対策の不十分さや、裁判を通して厳しい女性差別の現状を訴え改善を求めてきた女性たちの軌跡も併せて論じられました。そして、日本型雇用と伝統的な家族・社会保障システムに横たわるジェンダーがこうした現状を生み出してきた背景であり、そのシステムが機能マヒを起こしつつある現在、積極的でフレキシキュリティ型の労働市場と共働き・共家事・育児分担型家族という新しい日本のシステムへの転換が強く求められていることがまとめとして指摘され、これから社会へ出て労働市場に進んでいく学生たちに自分たちの課題を深く考えさせる契機となる講義となりました。

 次回は静岡新聞社編集局文化生活部専任部長の川村美智先生による「マスメディアとジェンダー」の講義が行われる予定です。

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