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 マスメディアとジェンダー(6月28日、担当:川村美智)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の11回目の授業が、6月28日(木)5限に行われました。

 今回は、個別領域ごとのジェンダーの問題を扱う各論部分の6回目になります。「マスメディアとジェンダー」と題して、静岡新聞社編集局文化生活部専任部長の川村美智先生をお招きして講義をしていただき、新聞とテレビをはじめとするマスメディアからメディア全般に関して、ジェンダーの視点からさまざまな問題を論じていただくことができました。

 まずはじめに、静岡新聞と静岡放送の事業内容の紹介DVDが上映され、新聞、テレビ、ラジオといったマスメディアの世界とはどういうものか、またそこでは、どのように記事や番組が作られているのか、といった点について具体的に概観することができました。続いて、メディアそのものの定義が論じられ、さらに1960年代以降のマスメディア研究の流れの中で、主にアメリカを中心にウーマン・リブ運動が提起したマスメディア批判の中から定量的な方法とジェンダーの視点によるマスメディアの新たな批判的研究が生み出されていき、大学での研究基盤が拡大することで女性が情報の受け手から発信者へエンパワメントされていった経緯が論じられました。さらに1980年代からのイギリスを中心とする定性的な研究によって、送り手の情報発信のあり方や受け手の属性による情報の受容における差異などについての研究が発展した経緯にも言及がなされました。そして、メディアにおける女性の活動拡大によって、女性らしさの再生産も行われながら、一方で女性自身がさまざまな特定のメディアを通して欲望や希望、意識を反映した情報を発信し、消費社会の先導役になっていくだけでなく、生活者の問題を男性に共有させるまでに発展している実状についても考察が行われました。

 その他、授業の中では、最近の流行語についてジェンダー平等の視点からそうした言葉が生み出され使われる社会のあり方の評価を学生に考えさせる質問や、実際に新聞の1ページの記事に登場する男女の比率を数えて、マスメディアにおける男性優位の実態について数量的に確認させる作業を行うなどの時間もあり、質問や体験を通してより実践的にテーマについて学生が思考を深められる方式でわかりやすい授業を行っていただくことができました。

 次回は、静岡市女性会館館長でNPO法人男女共同参画フォーラム静岡副代表理事の松下光恵先生による「市民活動とジェンダー」の講義が行われる予定です。

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