市民活動とジェンダー(7月5日、担当:松下光恵)
全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の12回目の授業が、7月5日(木)5限に行われました。
今回は、個別領域ごとのジェンダーの問題を扱う各論部分の7回目になります。「市民活動とジェンダー」と題して、静岡市女性会館館長でNPO法人男女共同参画フォーラム静岡副代表理事の松下光恵先生をお招きして、市民としての立場からの男女共同参画との関わり、指定管理者としての女性会館運営活動の内容と特色、課題などについてさまざまな角度から講義をしていただくことができました。
はじめに、先生が男女共同参画社会づくりを市民の立場から実践するNPOとしてその創立から参加してこられた男女共同参画フォーラム静岡と、そのNPOが指定管理者として運営を5年にわたって担ってきた静岡市女性会館について、それぞれの概略が説明され、女性会館を、地域の女性の課題を把握して女性が自ら解決する力をつける場所と位置づけられた後、指定管理者となるまでの先生の歩みと男女共同参画との関わりが紹介されました。その中では、最初専業主婦として、その後仕事と家庭を両立する働く女性としてのご自身の歩みを通して、自分の悩みは個人的なことではなく、女性の自己責任とは関係ない社会のジェンダーの仕組みが生み出した課題であると気づかれた経緯が論じられました。そして、社会から求められている課題の解決をめざして自分たち市民が活動する拠点として与えられた女性会館での5年間の歩みを振り返りながら、女性の就労支援、就労継続支援、女性に対する暴力根絶、貧困問題や災害関連など、今この施設が求められているさまざまな課題解決型の講座や企画の提供の実績が詳しく説明されました。またその中で、本学の学生たちも参加して実施されている、家庭の置かれた経済状況のために勉強したくてもできない中学生たちへの学習支援をボランティアで行う「静岡学習支援ネットワーク」の活動なども紹介されました。そして、今後はさらに指定管理者として一層着眼力、発想力、コーディネート力を強化したいという将来目標が最後に示されました。
さらに講義の最後には、学生との質疑応答を通して、学生も、女性会館を社会と市民をつなぐ身近な活動拠点として積極的に活用していくことの大切さが強調されました。
次回は「性暴力とジェンダー」と題して、カウンセラーでアウェア認定デートDV防止プログラム・ファシリテーターの松林三樹夫先生により性と暴力をめぐる諸問題が講義される予定です(この講義は、静岡県男女共同参画課によるデートDV防止出前講座としても行われます)。