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男女共同参画社会と大学(5月2日、担当:犬塚協太)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の4回目の授業が、5月2日(木)5限に行われました。

  今回も犬塚センター長が担当し、前回「男女共同参画社会の形成と展開~世界の日本の動き」の続きとして、近代社会に成立した性別役割分業が、戦前から戦後にかけてどう展開したか、特に戦後の高度経済成長期から低成長期にかけての変容とジェンダーの矛盾を踏まえて、なぜ男女共同参画社会が必要とされるのかが、国際社会と日本社会両方の観点から具体的に論じられました。

 さらに後半では「男女共同参画社会と大学」と題して、男女共同参画社会を実現する上での大学の使命や、とくに日本の大学が抱える男女共同参画の観点からの課題・問題点とその解決に向けた動きについて、多くの数量的データや資料に基づいてその内容が概説されました。とりわけ女性研究者支援という視点から、大学を含めた学校社会が持つ「隠れたカリキュラム」の存在やジェンダー・バイアスによる女性研究者の仕事と生活の両立困難な状況の要因などが論じられ、政府や大学の課題解決に向けた取り組みの検証を通して、大学における男女共同参画の実現に向けた方向性の展望がなされました。

 次回からは、授業後半の各論に移り、個別領域ごとにジェンダーの視点からの専門的考察が行われます。5回目には、「歴史とジェンダー」について平井和子先生が講義される予定です。

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受講生の声

国際関係学部・2年・女性

 先日TVでフィンランド人男性と結婚した日本人女性についての番組を放送していたのですが、その女性が嫁いで戸惑った事は「フィンランド人男性は非情だ」という事だった。というのも、台所に立つことはあっても奥さんの分の食事は作らないのだと言う。しかし、フィンランド人男性が口を揃えて言うのは、「人は人。大切なのは、自分がどうしたいかということです。だから男性も女性も関係ない」という事だった。だからフィンランドでは女性も男性同様の仕事を与えられバリバリ働くし、男性が子供をベビーカーに乗せて町を普通に散歩していた。私からすれば、確かに少し不思議な光景に見えたが、それは私にも性別役割分業の固定観念が備わってしまっているからだと思った。それと同時に男性を働くマシンとして、女性を労働力生産機のように扱う日本の社会の方が余程非情であると言える。しかし何と言っても怖いのは、そういった社会についての教育が施される環境が不充分なまま社会に出される事だ。男性にも子供への愛情はあるし、女性も会社や企業で能力を発揮したいと思っている。「当たり前」で通用している事が必ずしも正しい事だとは限らないのだから、「気付き」を増やし高める為に色々な大学、又小中高校でもこういった授業は必要だと思う。

国際関係学部・1年・女性

 今回は、大学に関連させたジェンダーの話だったので興味深かった。実際に大学や学校機関では、男女平等が満たされているとか、実現しているなどと思い込んでいて、実現しているのではない。そして、公立大学は特に遅れているということが分かった。公立大学に通っている身になると、心配である。「男女平等」とは何なのか?もう一度考え直す必要があると思った。自分は、今も女で、これからも「女性」として生きていく。実際に自分が社会へ出て働くときになって男女平等について考えるのは遅いし、今から自分から進んで考えていくべきだな、と感じた講義だった。

国際関係学部・1年・女性

 低成長期により、女性の仕事と家事による負担が増加し、それによって夫婦のコミュニケーションが欠落してしまうという悪循環は良くないと思いました。また、1979年にできた女性差別撤廃条約で、性差別が広がってきてしまったから、もっと男女平等な社会になってほしいと思いました。男女共同社会が必要となってきた背景としては、国際的にジェンダーへの意識が高まったことや社会・経済システムの転換、少子高齢化があげられます。少子高齢化はこれからの日本にジェンダー問題だけでなく、様々な問題を起こすだろうと考えられるので、改善していくべきだと思います。

 そして、学校教育は常に男女平等と呼びかけていますが、実際にそれができていないことを私は小中高で実感しました。男子は力仕事を、女子は手先を使う作業をしていたからです。国全体が思い込みで進んでいってしまっては困ると思いました。日本の大学では、女性の教授数が極端に少ないですが、そういうところの改善からもっと女性の社会進出を手助けする社会に変わっていってほしいと思いました。