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自然科学とジェンダー(5月16日、担当:山田久美子)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の6回目の授業が、5月16日(木)5限に行われました。

 今回は、個別領域ごとのジェンダーの問題を扱う各論部分の1つとして、「自然科学とジェンダー」と題して、浜松医科大学非常勤講師の山田久美子先生に、動物学から見た性、セクシャリティ、ジェンダーの諸問題を論じていただきました。遺伝子、ホルモン、染色体の視点から人間の性の分化のメカニズムが解説され、そのきわめて多様な実態が明らかにされて、人間の性が決して男女に二分されるものではないことが示されました。また動物と人間に共通の性指向と、人間固有の性指向のさまざまなパターンが具体的に提示され、人間固有の性指向にジェンダーによる抑圧が多大の影響を与えていることが論じられました。そして、ジェンダーによる抑圧が少ない社会における性役割の転換の実例や日本社会の歴史の事例などから、とくに近代以降に強化された歴史的、文化的なジェンダーによる性やセクシャリティの支配の実情が明らかにされました。いずれのテーマに関しても、多くの興味深い事例を取り上げながら大変具体的でわかりやすい講義が行われました。

 次回は、今回も触れられた近現代の社会の変化と男女共同参画社会への流れについて、法制度を中心に国際関係学部の伊藤一頼先生の講義が行われる予定です。

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受講生の声

国際関係学部・1年・女性

 私は今までの知識から、生物学的に見ても性は「XY」と「XX」つまり「男性」と「女性」しかないと思っていたので、こんなにも多くの「性」に分かれているのだと知り、非常に驚愕した。また不妊の原因の一つとして男性の遺伝子による精巣や精子の働きが関わっているのだということを知らなかったのでとても勉強になった。性指向に関しては人間にもバイセクシャルやアセクシャルの人がいるということを初めて知り、そのような人たちについてももっと詳しく調べてみたいと感じた。また人間の男性のみのセクシャリティの中には犯罪に関わるようなものも含まれているので、ジェンダーの縛りや時代の移り変わりによってだんだんと歪んできてしまったとすると、これからの社会ではどのようになっていくのだろうかと心配になった。

国際関係学部・1年・女性

 今日の講義はいつもとは少し違った視点から”男女”を見て、とても興味深く面白かったです。”ほ乳類の体はメスの形が基本であり、分化するかしないかでオス・メスに分かれる”ということを聞いてとても驚きました。人間の性格と同じように人間のホルモンが増加する時期にも1人1人違いがあるので、そういう理由で男女に分けられない間性になった人々を差別するのはおかしいと感じました。間性の人々のことやホモ・セクシャルの人々を「気持ち悪い」という人々は、自分がその状況に置かれた場合を考えてみるべきであって、そういった人々を非難する権利は誰にも無いと思いました。また、日本は昔の方がホモ・セクシャルに寛容であったというのが意外でした。私の中で、昔の方が恋愛については厳しい部分があると思っていたので、今日の講義を聞いて、その間違いが正せてよかったです。また、ヨーロッパ文化の流入によってホモ・セクシャルが否定される傾向になったと聞きましたが、今ではヨーロッパを含む外国の方がホモ・セクシャルを認めているということに驚きました。

国際関係学部・3年・女性

 動物学的にみれば男と女という性だけでなく、もっと多くの性別があるとわかった。いままで男と女しかいないと思って生活してきたため、驚いたと同時にそう思い込まされて生活していたことが怖くなった。また男と女しかいないと思われているこの世の中で、たとえばもしじぶんが間性だと診断されたらどうするだろうと考えてみると、すごく生きずらいのではないかと思う。そして現に生きずらい思いをして生活している人々がいると思うと、ジェンダーはなぜ存在するのか、どんな人でも受け入れる世の中であればいいのにと思ってしまう。少しでも差別やジェンダーが改善されることを願っている。また他にも興味をそそられたのがジェンダーが地域によって異なるということである。それぞれの地域ごとどのように異なるのか深く知りたいと思った。