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マスメディアとジェンダー(6月20日、担当:川村美智)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の11回目の授業が、6月20日(木)5限に行われました。

 今回は、「マスメディアとジェンダー」と題して、元静岡新聞社編集局文化生活部専任部長の川村美智先生をお招きして講義をしていただき、新聞とテレビをはじめとするマスメディアからメディア全般に関して、ジェンダーの視点からさまざまな問題を論じていただくことができました。

 まずはじめに、静岡新聞と静岡放送の事業内容の紹介DVDが上映され、新聞、テレビ、ラジオといったマスメディアの世界とはどういうものか、またそこでは、どのように記事や番組が作られているのか、といった点について具体的に概観することができました。続いて、東日本大震災に関わってメディアが果たした役割、避難生活などで役立ったメディアの特色などが紹介され、さらに、1960年代以降のマスメディア研究の流れの中で、主にアメリカを中心にウーマン・リブ運動が提起したマスメディア批判の中から定量的な方法とジェンダーの視点によるマスメディアの新たな批判的研究が生み出されていき、大学での研究基盤が拡大することで女性が情報の受け手から発信者へエンパワメントされていった経緯が論じられました。さらに1980年代からのイギリスを中心とする定性的な研究によって、送り手の情報発信のあり方や受け手の属性による情報の受容における差異などについての研究が発展した経緯にも言及がなされました。そして、メディアにおける女性の活動拡大によって、女性自身がさまざまな特定のメディアを通して欲望や希望、意識を反映した情報を発信し、消費社会の先導役になっていくだけでなく、生活者の問題を男性に共有させるまでに発展している実状や、メディアリテラシーの重要性についても考察が行われました。

 その他、授業の中では、最近メディアで多用される表現についてジェンダー平等の視点からそうした言葉が生み出され使われる社会のあり方をといかける視点の提起や、実際に新聞の1ページの記事に登場する男女の比率を数えて、マスメディアにおける男性優位の実態について数量的に確認させる作業を行うなどの時間もあり、現代の結婚とジェンダーをめぐる動向や、若い世代の社会での新しい活躍の記事も紹介され、質問や体験を通してより実践的にテーマについて学生が思考を深められる方式でわかりやすい授業を行っていただくことができました。

 次回は、国際関係学部の藤巻光浩准教授により「マイノリティとジェンダー」の講義が行われる予定です。

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受講生の声

食品栄養科学部・1年・女性

 メディアは、多くの人の目に触れるものであり、そこにジェンダーによる差別が潜んでいることは、それを広めてしまうことにつながりかねない。一刻も早く差別や男女特有という傾向のものをなくしてほしいと思う。新聞の記事のなかには、男性の活躍にスポットをあてたものが多かった。しかし中には女性の活躍にスポットをあてたものもあり、少しずつ女性への注目が増えてきたのだなと思った。分けられた記事の中には、ボランティアを通じた活動や、就職をきっかけに新生活を始める人々のインタビュー記事があった。これには男性にも女性にも同じようにスポットを当てられていて、普通の記事と違い、差別を感じないものだった。男性についても女性についても人権を何よりも第一に考えるべきであり、ジェンダーにおける差別をなくすためにも、それは大きく関係していると分かった。昔の「妻は家、夫は外」という考えは選択の幅を狭めていたが、最近は、逆にその選択を望む人もいる。男女共同参画社会を広める活動により選択肢が広まったことで新しく生じた問題も考える必要があると思った。

国際関係学部・1年・女性

 普段自分が何気なく見ていたテレビや新聞などのメディアにもジェンダーの問題が隠れていたことに驚きました。今まで気がつかなかったけど、確かに「女性医師」や「女社長」という表現はその職業に就く女性が特殊であるような印象を与える、差別的な表現だと思いました。また、実際に新聞の記事を見て、出てくる名前や写真の数を比べてみると、男性の方が取り上げられていることが多いと分かりました。そのことで男性の活躍するイメージを与えてしまうので、バランスのよい報道をした方が良いと思いました。誤解や偏見のないようにするために、報道のし方は重要だと思いました。

国際関係学部・1年・女性

 私は今までメディアに関してジェンダーの問題を考えずに見ていたり、受け取ったりしていたりした。なぜならば、そのイメージが当たり前のものとして毎日受け取っていたからだ。しかし、この授業を聞き、はっと目が覚めたような思いがした。私が思うにメディアというのは、大勢の人に発信するもののイメージを植え付けてしまうものである。よって、自分もあまり疑問を抱かずにいてしまったのではないかと思う。その為、男女平等が進まない要因として、視聴者がジェンダーに関して、「これはこういうものだ。」と無意識に思ってしまい、疑問を抱かなくなってしまうことがあげられるのではないかと思った。だからやはりメディアの表示をもう一度見直して、「人」ひとりひとりを意識し、ジェンダー意識を弱めることで人々の意識を変え、男女平等に向けて進められるのではないかと思う。