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まとめ〜マイノリティとジェンダー特別講義とミニ・コンサート(7月11日、担当:会津里花)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の14回目の授業が、7月12日(木)5限に行われました。

 今回は、この授業全体の最終回になります。「まとめ〜マイノリティとジェンダー特別講義とミニ・コンサート」と題して、「一五一会」インストラクター/ベーシストで、トランスジェンダーの会津里花さんをお迎えして、授業全体の総括と、マイノリティとジェンダーについての特別講義を行っていただきました。

 はじめに、犬塚センター長の紹介の後、特別講義として、一五一会の演奏と自作の歌を織り交ぜながら、会津さんによるトランスジェンダー(MtF)として、そしてバイセクシュアルとしての自分の人生のさまざまな体験と思いが語られました。

 会津さんからは、婚外子差別を容認している現在の民法の問題点を例にしながら、差別を生みだす日本社会のあり方への批判が語られ、ジェンダーを体、心、らしさ、好きになる性の4つの次元に分けてとらえる視点が示され、男性と女性は決して2つに分断されるものではなく、両者は連続的で切れていないことが強調され、性別についての二分法的な発想の誤りへの注意がなされました。そして、性的なマイノリティの人々への差別の根源である相手への安易な決め付けへの戒めが述べられ、1人ひとりの性のあり方の尊重と性の多様性をちゃんと理解していくことの大切さが論じられました。さらに自分のこれまでの人生の成長のプロセスを通してトランスジェンダーとして、バイセクシュアルとして、どのような経験をしてこられたか、その中で自らの現在の立場をどのように見出し築いていかれたかが詳しく語られ、そこから学生に感じ受け止めてほしい多くのメッセージもさまざまに語られました。

 合間には自作の歌の演奏も織り込まれ、受講した学生たちは、会津さんの率直で明るくわかりやすい語りと、さまざまな思いのこめられた素晴らしい歌を楽しみながら、最後の回にふさわしく、男女共同参画社会とジェンダーについての課題の広がりの大きさと大切さについて、あらためて認識を深めることができました。

 今後も本センターとしては、さらに内容の充実を図りながら、この授業をセンターの基幹的な事業として位置づけ、来年度以降も実施していく予定です。

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受講生の声

食品栄養科学部・1年・女性

 今回は最後の講義でしたが、実際にマイノリティへの苦悩を経験した人の言葉は、とても深いものだなと思った。歌にはひとつひとつの言葉に大きな意味や思いが込められており、多くの人にマイノティについて知ってほしい、自分の思いが伝わってほしいという願いが感じ取れた。自分に不安や疑問を持ち続けること、自信を持てないことは、自分を認められないこと、愛せないことであり、不幸なことだなと思う。ジェンダーによる位置づけは、他と違うことの不安、劣等感、そうでなければならないという思い込みを抱き、自分自身を愛せなくなることへつながるかもしれない。さらに個人がこうでありたいという願いを実現することを妨げる。だからすべての人が自分らしく、差別や劣等感なしでいられるように、男女共同参画社会を推進しているのではないかと思う。それをなくすことで、自分自身の本心に気づき、会津さんのようにマイノリティに負けず、自分を好きになれる人も増えるのではないかと思う。これを今回の講義で気づくことができた。

国際関係学部・1年・女性

 講義と素敵なコンサートを通して「ジェンダーって私たちが勝手につくってしまっているものなのだ。」と改めて確信した。「世の中には男と女しかいない。」という言葉にもすごく違和感を覚えるようになった。会津さんのお話を聞いて、とても感動したし、その感動の中に「男としての」「女としての」会津さんのお話という認識はなかった。一人の人として素敵な方だと思った。この感覚が大切なのではないかと思う。以前、“「身近な人が性的マイノリティの立場だ。」と話した時、あなたは前日までと同じようにその人と接することができるか?” という問いに私は答えられなかった。今でもはっきりと「はい。」とは言えないが、次の日から同じように接することはできなくても、「男」とか「女」とかを取り払って、その人自身を好きになることはできると思う。ぜひ、そんな関係をつくっていきたい。

国際関係学部・1年・女性

 授業の最終日だった。「バイセクシュアル」に対しての社会の批判や差別の目がまだ厳しいと分かった。私の初めて見たときや聞いたときは「え...」と思ったりしていた。しかし男性と女性は決して分断して考えてはならないと改めて思った。ジェンダーを勉強してきて私はいろいろなことに関心を向けることができた。普段、”男女共同参画”という言葉を耳にしていたけれど深く追求したことはなかったし、自分にはまだ遠い堅い話だと思っていただけだったが、この講義をとったことでジェンダーに足を踏み入れられたし考えたことのないことも考えられたし、いい機会になった。この講義をとってよかった。

経営情報学部・2年・男性

 会津さんは、傍から見ると、とても気さくで楽しい人だったが、自分がどのような人生を歩んできたのかということを教えていただき、とても心の強い人なのだと感じた。ふつうは経験しえない、耐えられないことがたくさんあったにもかかわらず、元気いっぱいに振るっている会津さんを見ていると、マイノリティなんて、ごく小さな問題なのだと感じてしまった。でも、中には自分のアイデンティティに迷い苦しんでいる人もたくさんいると思う。そのような人々を同じ「人間」としてみることができるような社会ができれば、社会はもっと美しくなるだろうと感じた。また、会津さんの楽曲は、ゆったりとしたメロディーの中で私たちに語りかけるように歌ってくださったので、とても心にしみわたった感じがした。マイノリティである自分のことをみんなに知ってもらい、また、そのことを歌にして届ける。会津さんの活動によって、社会が差別や偏見のない美しいものへと確実に前進していると思うし、それを後押ししている会津さんを心から応援したいと思った。

国際関係学部・1年・女性

 私は今回、会津先生のようにジェンダーマイノリティーの方のお話を生で聞くのは初めてだったので、最初は少し驚いたが、話を聞くことが出来て本当に役に立ったし、自分の視野が非常に広まったような気がした。今回の授業ではジェンダーを考える4つのポイントを教えていただいて、それらは以前の授業の際にも話題に上がっていたものだった。しかし、以前は文面上では分かったつもりでいても、実際その方々がどのような思いを持っているのかなどのことがよく分からず、全くイメージがわいていなかったので、今回実際にお会いして話を聞いて、やっとその4つのポイントやポイントの組み合わせ等の理解を自分の中ですることが出来たような気がした。今回の先生の曲はメロディも歌詞も本当に素晴らしくて、自分自身も自分のことや人生などについて考えるのに良い機会となり、感動した。私は自分のことがあまり好きではないので、自分を大切にするのは難しいけれど、相手を大切にするためにも頑張ろうと思った。

国際関係学部・1年・女性

 トランスジェンダーでバイセクシュアルである会津先生の体験談から、今まで知る機会があまりない人の気持ちなどを学んだ。人は経験のよって自分の性の考え方が変わるとわかったので、私たちの性はセックスでは分けられないと思った。今でも先生は男と女で揺らぐことがあるそうなので、これからどんなジェンダーの人に出会っても、その人の意見を尊重するようにしたい。これまでの授業を通じて、ジェンダーの考え方は国によっても様々だったし、男女の問題も社会的な立場から恋愛での関係へと様々であるので、もっと当事者の話を聞きたい。私の中では「自然科学とジェンダー」の授業でのメキシコのジェンダー変換のお話が印象に残っていて、個人の意思を尊重できるいい政策だと思っている。これからの社会が男女平等で、様々なジェンダーの人の生活がよくなるように、これからも勉強をしていきたい。