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マスメディアとジェンダー(6月12日、担当:川村美智)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の9回目の授業が、6月12日(木)5限に行われました。

 今回は、「マスメディアとジェンダー」と題して、静岡市女性会館館長で、元静岡新聞社編集局文化生活部専任部長の川村美智先生をお招きして講義をしていただき、新聞とテレビをはじめとするマスメディアからメディア全般に関して、ジェンダーの視点からさまざまな問題を論じていただくことができました。

 まずはじめに、静岡新聞と静岡放送の事業内容の紹介DVDが上映され、新聞、テレビ、ラジオといったマスメディアの世界とはどういうものか、またそこでは、どのように記事や番組が作られているのか、といった点について具体的に概観することができました。続いて、東日本大震災に関わってメディアが果たした役割、避難生活などで役立ったメディアの特色などが紹介され、さらに、1960年代以降のマスメディア研究の流れの中で、主にアメリカを中心にウーマン・リブ運動が提起したマスメディア批判の中からジェンダーの視点によるマスメディアの新たな批判的研究が生み出されていき、95年の北京での世界女性会議でメディアの項目での戦略目標が立てられた経緯が論じられました。さらに1980年代からのイギリスを中心とするカルチュラル・スタディーズによって、送り手の情報発信のあり方や受け手の属性による情報の受容における差異などについての研究が発展した経緯にも言及がなされ、メディアにおける女性の活動拡大によって、女性自身がさまざまな特定のメディアを通して欲望や希望、意識を反映した情報を発信し、消費社会の先導役になっていくだけでなく、生活者の問題を男性に共有させるまでに発展している実状や、メディアリテラシーの重要性についても考察が行われました。また一方で日本のメディアの現状については、送り手に女性が少なく、その背景になっている時間の不規則な就労環境や長時間労働の実態が説明された後、意識改革の重要性が述べられました。さらに静岡県に関する情報を中心として、メディアから知られる最近の男女に関するさまざまなデータも紹介されました。そして最後に、これからの若者がソーシャルメディアの発信者及び受け手として、人権の意識をしっかり持ち、自分たちのとらえ方(メディアリテラシー)を確立していく作業の重要性が求められて授業が総括されました。

 その他、授業の中では、メディアで多用される表現についてジェンダー平等の視点からそうした言葉が生み出され使われる社会のあり方をといかける問題意識の提起や、実際に新聞の1ページの記事に登場する男女の比率を数えて、マスメディアにおける男性優位の実態について数量的に確認させる作業を行うなどの時間もあり、質問や体験を通してより実践的にテーマについて学生が思考を深められる方式でわかりやすい授業を行っていただくことができました。

 次回は、元静岡県立吉原高等学校長の奥山和弘先生により「教育とジェンダー」の講義が行われる予定です。

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受講生の声

国際関係学部・1年・女性

 テレビを見ていて昔から疑問に思っていたことがある。それは、男性が事件を起こしたりしてニュースなどで報道されることがあっても名前や職業を普通に表記されるのに、女性が報道されるときは「女○○」などという表記がされることだ。先日も、「女社長が〜」というニュースを見た。その出来事に女性ということは何も関係ないのに、女性であることを強調することに違和感を感じる。そのような報道になっていしまうのも、メディア関係者に女性が少ないのが一因なのかと考えた。労働環境,時間によって女性が働きにくい業界かもしれないが、男女差を解消しなければ情報に偏りが起こってしまうかもしれない。授業で数えた記事の数には、実際に男女差が起こってしまっている。普段何気なく見ていたテレビや新聞に、男女差の名残が残っていることはとても残念である。

薬学部・1年・女性

 今回の講義の中で特に印象に残ったことは、まず職場などでの男女の数の比が意見の言いやすさに影響を与えているということと、女性自身が男性と同じ要求をする事に対して自分でも気付かないうちに遠慮したりためらったりしているのかもしれないという見解です。確かに、例えば実際に妊婦さんが「こうして欲しい」「こうであったら便利なのに」と思うことは、経験した人でないとなかなか分からないことも多いと思います。職場に女性が多いと、そのような改善の意見に対する反応や取り組みも積極的に行われるために、より女性が働きやすい環境が作られていくと考えられます。

 その他、当事者でないと分からないであろう意見は、多くの女性は発言することをためらったり遠慮したりするので気付いてすらもらえない事も多々あると思います。女性が積極的に意見を発することで改善される事も意外と多いのかもしれないと感じました。

 ただ、それには職場などの環境に女性が多く、発言しやすい環境というのがやはり必要なため、就労環境の改善により女性が働きやすい社会を作ることは必須であると考えます。

 メディアは多くの人の思想に影響を与えます。今まで、“女医”という表現や、“家庭ではよき妻”などといった男女観が伺える記事の内容を自然と受け入れていたのですが、今回の授業を受け、今後はそのような価値観を押し付ける表現に対して違和感を覚える感覚を持たなくてはならないなと感じました。そして近年の新聞社の、弱者の視点を提供するような内容の記事を多く載せるようになった傾向は評価されるべきものであり、今後は益々女性の社会進出に貢献する大きな力となってもらえたら良いなと感じました。

経営情報学部・1年・女性

 私は新聞記事やテレビのニュースを見る時に、登場する人物の男女比など気にしたこともありませんでした。しかし、それは政治や経済の現場には女性は少ないものだという固定観念があったからであり、女性が社会で活躍できる場がもっと必要だという問題意識を持つ必要があると感じました。

 また、表現方法についても、女優や女医といった言葉に何の疑問もありませんでしたが、今回の講義を聴いて、確かにそれらの言葉から「その職業についている人」ではなく、「その職業に就いている『女性』」ということを知らず知らずのうちに印象付けられているということがわかりました。ただ、私も最近新たに生まれた言葉に疑問を感じることは多々あります。例えば少し前に「歴女」、最近では「リケ女」という言葉が登場しましたが、当初から私は「女性が歴史を好きなのは珍しいだろうか?」、「今は理系の女性もたくさんいるのに」と思っていました。これらの言葉もマスメディアの力によって人々に認知されていったものです。マスコミも一つ一つの言葉の持つ意味や人々に与える影響をよく吟味して、物事の本質を正確に発信するという点でまだ多くの課題があるのではないかと感じました。そして、情報を受信する側も、ある言葉から受ける印象は人それぞれ違うとはいっても、自分の認識に偏見はないか、本当に正しい情報なのかをよく考え、同じ情報でも様々なメディアから調達するなどの手段をとるべきだと思いました。

国際関係学部・1年・男性

 ビデオ映像を見て、原稿の下読みなど放送の出演者以外にも女性を含め、多くの方々が関わっていると認識しましたが、男女の職場における比率が6対1ということから、メディアという職にも、女性の少なさに比例して、男性の観点から捉えた女性像がメディアを通じて広がる可能性があります。職業自体にも、女医や女流作家という言葉から、まるで男性固有のモノであるかの様な意識も残っているのだと感じました。メディアによる女性表現は実際の女性像と異なり、男性中心の観点から捉えた表現でしかないと思いますが、最近はアニメやドラマにおける一人称が『僕』『俺』である女性の登場、男性で構成された大奥が存在する男女の上下関係が逆転した世界観の映画など、良くも悪くも着実にメディアにおける女性表現は変わってきています。

食品栄養科学部・1年・女性

 メディアは社会、文化に与える影響が非常に大きい。今やメディアが大衆の流れをつくっていると言っても過言ではない。にもかかわらず、そのメディア自体が男女平等ではなく、ジェンダーを生み出してしまっているのは大問題だ。これでは、メディアが人々にジェンダーを植え付けてしまう。私自身、「女子アナ」「女医」という言葉が使われていることに違和感がなかった。川村先生の話を聞いて初めてメディアにおけるジェンダーに気付いた。メディアは偏った報道をするべきではないのに、発信する側に女性が少ないがためにジェンダーを生み出してしまっている。この問題を解決するためには、ただ単純に女性記者を増やせばいいというわけではない。なぜ今まで女性が少なかったのかを考え、労働環境を変えていかなければならない。実際に女性を増やして、どういう点が女性を働きづらくしてしまっているか意見を聞く必要がある。女性にしか分からないこともあるため、女性が声をあげやすい環境を作り、メディアにおけるジェンダーを解決していかなければいけないと思った。