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市民活動とジェンダー(7月10日、担当:松下光恵)

   全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の13回目の授業が、7月10日(木)5限に行われました。

 今回は、「市民活動とジェンダー」と題して、前静岡市女性会館館長で、現在はNPO法人男女共同参画フォーラム静岡代表理事の松下光恵先生をお招きして、市民としての立場からの男女共同参画との関わり、指定管理者としての女性会館運営活動の内容と特色、課題などについてさまざまな角度から講義をしていただくことができました。

 はじめに、自らの人生を振り返り、最初専業主婦として、その後仕事と家庭を両立する働く女性としてのご自身の歩みを通して、自分の悩みは個人的なことではなく、女性の自己責任とは関係ない社会のジェンダーの仕組みが生み出した課題であると気づかれた経緯が論じられました。そして、NPO活動でやろうと思った3つの事柄~「自分が担う、女性が担う」という主体性、「ボランティアではない働き方を創る」という現実を見据えた視点、「やりたいことではなく求められることをやる」という社会の課題やニーズを自覚した問題意識、が示され、現代の日本社会が決して男女平等になっていない実情を確認したうえで、男女共同参画社会づくりを市民の立場から実践するNPOとしてその創立から参加してこられた男女共同参画フォーラム静岡と、そのNPOが指定管理者として運営を担ってきた静岡市女性会館について、それぞれの概略が説明され、女性会館での活動の主眼を課題解決型事業においてこれまで実践してこられたさまざまな事業の内容が紹介されました。また、女性会館の運営は仲間に任せて、今後はNPO法人の責任者の立場から、本学の学生たちも参加して実施されている、家庭の置かれた経済状況のために勉強したくてもできない中学生たちへの学習支援をボランティアで行う「静岡学習支援ネットワーク」の活動や、社会的起業関心を持つ若者たちと静岡の地域問題の解決をめざす「まちみがきプロジェクト」や、生活困窮者に販売は難しいが安全な食品を届ける「フードバンクしずおか」などの新しい活動に、これまでのネットワークを活かして取り組んでいかれる予定であることなどが説明されました。

 男女共同参画社会づくりへの高い志、やりたいことに自己満足せず求められることを自ら発見して社会の課題に応えようとする姿勢、人と人とのネットワークをどんどん拡大し新しい取組に果敢にチャレンジされる方法という、3つの特徴から市民活動の原点を示していただいた有意義な講義になりました。

 次回は、「一五一会」演奏家で、GID当事者である会津里花さんをお招きして、「マイノリティとジェンダー~特別講義とミニ・コンサート」が行われる予定です。

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受講生の声

国際関係学部・1年・男性

 まだ、世界的に見て日本社会は完全に男女平等になっているとは言えないと思った。しかし、松下さんが所属している女性会館のような支援施設が積極的にさまざまな問題を解決しようと努力しているという現状も分かり安心した。サポート事業には、男性介護者交流会や踏み出す女子交流会、宿題カフェなどがあるという。女性だけではなく、男性や塾に行けない中学生などの援助もしているということにも驚いたし、感動した。こういった活動が多くの地域で活性化してほしいと思う。

薬学部・1年・女性

 静岡市女性会館の男女共同参画社会の実現に向けての取り組みは、ただ思いつきや主催者のやりたい事を企画しているのではなく、様々な課題を解決する為に科学的なデータに基づいた本当に社会に求められている事を実践されているのだと知りました。シングルマザーへのパソコン講座やニート女子への仕事の準備講座など、様々な経済的困難を抱えた女性への講座を通じて、参加者が半年後には7割が就労につき2割が職業訓練中と実際に目に見えた成果が数字に現れて出ています。

 様々なデータを分析して本当に必要とされている取り組みを企画し、課題を解決していくという支援方法は、困難を抱えている女性や悩みを抱えている様々な年代の人々にとって大きな助けになっているのだと実感しました。

 これからも、時代のニーズに合わせた様々な取り組みによって、困っている人々に寄り添う居場所であってほしいなと思いました。そして、もし自分が困難な状況に陥った時には静岡市女性会館の存在を思い出し、企画に参加してみたいと思いました。

食品栄養科学部・1年・女性

 女性会館という存在を今回、初めて知った。名前だけを聞くと、堅苦しく、学生などが行きにくいイメージだったが、実際はとてもオープンな施設だとわかり、行ったみたいと思った。

 「無償ボランティアはどこかで限界がきてしまう」「自分たちのやりたいことが、求められていることと一致しないこともある」その言葉を聞けて安心した。私がボランティアについて、薄々感じ、悩んでいたことを他の人からはっきりと言われて、自分の心の整理ができた。

 女性のためだけでなく、男性や子供のためにも男女共同参画社会を目指しているということを、もっと広めてほしいと思う。貧困問題やシングルマザーへの支援はこの国が遅れている部分でもあると思うので、静岡県は良い環境が整っていると感じた。女性会館で働く人が、収入として、仕事として働けていることはすごいことだと感じた。