Top / 事業紹介 / 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」 / 2015年度「男女共同参画社会とジェンダー」男女共同参画社会の形成と展開〜世界と日本の動き

男女共同参画社会の形成と展開〜世界と日本の動き(5月7日、担当:犬塚協太)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の3回目の授業が、5月7日(木)5限に行われました。

 前回、前々回に引き続き今回も犬塚センター長が担当し、主にフェミニズムの近代史における性別役割分業の歴史的展開と男女共同参画社会への転換を中心に、世界と日本の動きについて講義が行われました。特に、セックスという生物学的性差に社会のすべての男女の役割の根拠を求める一元的な見方からジェンダー/セックスの2つの次元を明確に区別し、社会的・文化的性規範としてのジェンダーに問題の焦点が絞られた1970年代以降の変化、さらに進んで21世紀以降、セックスをも性に関する知識という点でジェンダーの一部とみなし、ジェンダーの包括的な概念の広がりを重視する方向へ理論的な流れが変化している現状などが、フェミニズム論の歴史をふまえて概説的に論じられました。とくに男女共同参画社会の実現を阻んできた大きな要因である性別役割分業というジェンダーが近代産業社会以降に広まったことがあらためて確認され、20世紀中ごろまでに成立したこの性別役割分業社会のあり方に対し、特に第2波フェミニズムの思想と運動が男女の実質的平等の実現を求めて登場したことで、性別役割分業というそれまでのジェンダーによって作られてきた男女の不平等構造からまず女性の解放が求められて男女共同参画社会への新たな動きが1980年代以降進められてきたこと、なども説明されました。

 次回は、これまでのジェンダーから男女共同参画社会の実現が求められるようになった世界と日本の近年の動向を、男女共同参画社会づくりに関わる法制度の展開やその課題などを中心に、坂巻静佳先生(国際関係学部)により講義が行われる予定です。

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受講生の声

国際関係学部・1年・女性

 私は高校の時に世界史を勉強してきました。確かに中世の時代に出てきた革命家は男性が多く、また古代ローマの時代には、女性や異国人が男性よりも圧倒的に劣勢でした。近代になって、フランス革命の時に女性が団結したことは既知でしたが、18世紀にはオランプ・ド・クージュ、19世紀にはウルストンクラストという女性たちが活動したことについては初めて知りました。

 “現代の日本は先進国であるにもかかわらず、男女差が大きいままで遅れている”という意見をテレビで聞いたことがあります。日本ではまだ偏見が多い「男女共同参画社会」ですが、正しい知識が広まって、男女間の差が縮まっていったらいいなと思います。

国際関係学部・3年・男性

 私達ひとりひとりは、これまで自らが「性」として捉えていた概念について疑問を持ち、それを考え直す必要があるだろう。私もジェンダーについて学ぶ以前は、男女は生物学的根拠に基づいて絶対的に区別されたものだと思っていたが、これは必ずしも正しくはないということが分かった。さらに「性」の概念は社会の変化とともに絶えず変化していくものであることを踏まえて、これからもこの問題に関心を持ち続けていかなくてはならないと思う。

国際関係学部・1年・女性

 ジェンダーという言葉がどういう経緯で生まれたのがよく分かりました。生物学的な観点での性の区分であるセックスと、文化的・社会的に作られた性規範であるジェンダーの二つの見方での性の有り方について分かりました。フェミニズムの活動についてのお話で、フランス革命の時に活躍した女性達や命を懸けて女性の権利を求めた女性達のことを聞いて、多くの女性の勇気や命のおかげで今の私達があると感じ、感動と感謝の気持ちが湧きました。

経営情報学部・1年・女性

 人権宣言として認められた人が男性のみだということを初めて知りました。女性の人権は、本当に近代になるまで認められなかったから女性の活動家が出現し、それがあまり知られていないということに驚きました。又、性別分業は歴史的な男女の立ち位置からきているのかと思っていたけど、実際はブルジョアの暮らしに憧れた女性達が自分達自身でその道を選んだのだと知り、それが現代で性別分業が見直されることになり、又、女性への偏見に対する考え方や対応が厳しいのではないかと思いました。

食品栄養科学部・1年・女性

 「ジェンダー」という一つの視点から物事を考えるのではなく、「ジェンダーとセックス」という生物学的かつ社会学的な考えを上手く組み合わせることにより、身体と精神がともに性別に縛られることなく、自由に存在することが可能になるのであろう。知識として既に身についている「性」についての教養が、自分自身の思想を創造する基盤となることは明確だ。男女共同参画社会を実現させるためには、幼い子供にへの教育の充実化が必要だと思う。また、教育の現場に携わる人々が「ジェンダー」に対する知識を得て、多くの人に享受していくことで、理想の社会が早期実現するのであろう。