男女共同参画社会と法制度(5月14日、担当:坂巻静佳)
全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の4回目の授業が、5月14日(木)5限に行われました。
今回は国際関係学部講師の坂巻静佳先生が担当され、「男女共同参画社会と法」と題して、法律学の観点から、男女共同参画社会を築き支える法制度のあり方について、その特色と課題が論じられました。はじめに法治国家における法の機能、国際法と国内法の関係といった基礎的知識について整理された後、日本における女性差別撤廃への歩みを、日本国憲法、女子差別撤廃条約の批准、男女雇用機会均等法といった法や条約の成立・改正の流れに沿って、その内容のポイントが資料と共に詳しく説明され、男女共同参画社会の実現に向けた具体的な歩みに関して、国連など国際社会の動きから男女共同参画社会基本法の成立、さらにその後の国内外の法制度の重要な動きについて、最新の動向まで含めて詳細にその特色が論じられました。また、残された課題として、女子差別撤廃委員会の報告書に基づき、同条約の国家報告とそれへの委員会の見解のやり取りが詳しく紹介され、選択議定書に加わらず民法など国内法が依然として条約に反する内容のままで、条約に反した固定的性別役割分担が続き、ワークライフバランスの実現に向けての取組も遅れている日本の現状に対する厳しい委員会の見解が示されて、日本が男女共同参画社会の実現について、法制度の観点からもいまだ十分な段階に達していない実態が明確に示されました。そして、まとめとして、日本の男女共同参画社会実現における法の役割、法制度の概観、国際法の機能の3点を理解することの重要性が論じられました。
豊富な資料と最新の法案審議の動きや最高裁の違憲判決による最近の法改正の動向などにも触れられ、わかりやすく丁寧に男女共同参画社会と法制度の関係が論じられた授業となりました。
次回は、自然科学系の学部学生にも興味深いテーマとなる「自然科学とジェンダー」について、生物学者の山田久美子先生の講義が行われる予定です。
受講生の声
薬学部・1年・女性
日本は伝統が良かれ悪かれ長く続く傾向があるので、世界が男女平等への指針を示し、最初のきっかけとなり、その後日本自ら基本法を制定するところまで男女平等を進められて良かったと思うが、条約を有効に利用するために国内法として制定すべきだ。そして、世界が何度も会議を開き、男女平等へ邁進していると知って驚いた。また、裁判所の影響力が大きいとわかったので、将来最高裁判官の国民審査によく考えて投票したい。
薬学部・1年・女性
私は、日本は世界的に見て男女差別が撤廃されたのは早いと思っていました。しかし、今回の授業を聞いて本当に驚きました。日本は世界で採択された男女平等の条約に対しての批准をするために男女平等になるような整備を進めていたに過ぎないように思われたからです。また、憲法に男女の平等を謳うように定められていても、実際は全くそうなってはいなかったりと、ひどいとおもいました。また、男女共同参画社会基本法が定められたのが自分が生まれてからのことだったということにも驚きです。これからもっと男女平等の近づけばいいなと思います。