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マスメディアとジェンダー(7月9日、担当:川村美智、石井祐子)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の12回目の授業が、7月9日(木)5限に行われました。

 今回は、「マスメディアとジェンダー」と題して、静岡市女性会館館長で、元静岡新聞社編集局文化生活部専任部長の川村美智先生と、静岡新聞社経済部記者の石井祐子先生をお招きして、講義とワーク、対談をしていただき、新聞とテレビをはじめとするマスメディアからメディア全般に関して、ジェンダーの視点からさまざまな問題を論じていただくことができました。

 まずはじめに、静岡新聞と静岡放送の事業内容の紹介DVDが上映され、新聞、テレビ、ラジオといったマスメディアの世界とはどういうものか、またそこでは、どのように記事や番組が作られているのか、といった点について具体的に概観することができました。続いて、1960年代以降のマスメディア研究の流れの中で、主にアメリカを中心にウーマン・リブ運動が提起したマスメディア批判の中からジェンダーの視点によるマスメディアの新たな批判的研究が生み出されていき、95年の北京での世界女性会議でメディアの項目での戦略目標が立てられた経緯が論じられました。さらに1980年代からのイギリスを中心とするカルチュラル・スタディーズによって、送り手の情報発信のあり方や受け手の属性による情報の受容における差異などについての研究が発展した経緯にも言及がなされ、メディアにおける女性の活動拡大によって、女性自身がさまざまな特定のメディアを通して欲望や希望、意識を反映した情報を発信し、消費社会の先導役になっていくだけでなく、生活者の問題を男性に共有させるまでに発展している実状や、メディアリテラシーの重要性についても考察が行われました。また一方で日本のメディアの現状については、送り手に女性が少なく、その背景になっている時間の不規則な就労環境や長時間労働の実態が説明された後、意識改革の重要性が述べられました。そして、これからの若者がソーシャルメディアの発信者及び受け手として、人権の意識をしっかり持ち、自分たちのとらえ方(メディアリテラシー)を確立していく作業の重要性が求められました。

 また川村先生と石井先生との対談を通して、マスメディアの世界で女性が仕事を通して活躍することの難しさや、石井先生が現在担当されている静岡新聞金曜夕刊の新プロジェクト「こち女(こちら女性編集室)」について、プロジェクト成立までの経緯や社内での男性上司とのやりとり、読者からの反応、取材を通して具体的に感じたことなどが明らかにされ、マスメディアにおける女性の仕事のあり方がさまざまな角度から検討されました。

 その他、授業の中では、メディアで多用される表現についてジェンダー平等の視点からそうした言葉が生み出され使われる社会のあり方をといかける問題意識の提起や、実際に新聞の1ページの写真に登場する男女の数を数えて、マスメディアにおける男性優位の実態について数量的に確認させる作業を行うなどの時間もあり、より実践的にテーマについて学生が思考を深められる方式でわかりやすい授業を行っていただくことができました。

 次回は、NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか代表理事の松下光恵先生により「市民活動とジェンダー」の講義が行われる予定です。

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受講生の声

薬学部・1年・女性

 私は高校生の頃、新聞部に所属していて全国大会に出場していたが、男女の比率を考えてみると、男女の人数にあまり差がないように思えたので、新聞社に女性が2割しかいないと知り驚いた。多くの人が目にする国語辞典においても男性しか明らかに用例で主体とされていないと初めて知った。また、石井先生の話を聞いて、男性が女性視点という考え方をしている時点で、女性と男性の違いを強調しているとわかった。今まで意識することなく新聞やニュースを見ていたが、マスメディアの中には日本の根本的なジェンダーの考え方が反映されているのだと思った。

国際関係学部・1年・女性

 私たちのとても身近にあるメデイアに多くのジェンダーが隠れているということに今まで全然気づかなかった。しかし、今日の講義で意識して新聞を読んでみると女性の強調だったり、写真に写っているのは男性の方が多かったりと、ジェンダーだと思われる点が多々あった。また女性記者が現在も少ないというのは考えなくてはならない問題だと思った。朝刊については難しい部分があるかもしれないが、夕刊については女性記者を多く採用したり、女性記者の特集を組んだりするのはいい取り組みだと思いました。

国際関係学部・1年・女性

 最近マスメディアのあり方が変わってきた、と感じることが多い。テレビでも、「イマドキ女子」という言葉を聞くようになったし、川村先生がおっしゃったように、Twitterの意見を見ながら意見を述べる、というテレビをみたことがある。マスメディアが今の時代に合わせているような気がする。本来メディアというものは、正しい情報を正確な言葉で私たちに伝えるものだと思っていたが、最近は私たちのニーズに答えすぎていると思う。だから、女性だけに見てほしい記事、新聞ができてしまうのだと思う。これから、新しいメディアと古いメディアの関わり方がますます重要になってくる、と感じた。

国際関係学部・1年・女性

 今回は新聞の男性と女性の表現の仕方に言及された内容で男性中心に書かれていることが分かりました。また、実際に新聞で扱われている写真に出てくる男女比を比べる実験が興味深かったです。結果を見ると歴然で男性の方が出てくる割合が多いことが分かりました。それは新聞は社会の主要な出来事を扱うため男性中心の社会構造を反映したためだと考えられます。もしこれから女性の社会進出が進めば自然と女性の写真も増えてくるのではないでしょうか。さらに、マスメディアにおいては女性に限らずスポーツ選手を〜君と呼ぶなど枠にはめ込んで傾向が見られました。男女が同じ立場になるだけで無く男女共により良い表現がなされるようになる社会になれば、と感じました。

経営情報学部・1年・女性

 新聞を作る過程で、女性が関わる部分が少ないことを知って、マスメディアの世界でもジェンダーにおいての問題が多いのだと思った。先生方のインタビューなどを聞いて、女性目線とは何だろうということについて考えさせられた。女性目線と言いながら、チェックするのは男性だというのは良いことなのかどうか考えた。これから少しずつでもマスメディアでのジェンダーの問題が減ると、一般大衆はマスメディアから大きな影響を受けるので、ジェンダーの問題が少ない社会になるのではないかと思う。

経営情報学部・1年・女性

 DVDでは、記者は、ペンと紙以外に、カメラや電子辞書、また、長ぐつも必要だと知り、時代が進むにつれて、必要なものも変化していくことが分かりました。また、新聞は、見出しや写真があることによって、より見やすく、読みやすくなることが、よく分かり、印刷後は、ミスが無いかを今だに人の目で点検していることが知れました。ジェンダーの視点では、新聞や雑誌、テレビなどで、男女差別の様な表現があり、新聞では、女○○、女性の○○など、女性であることが強調されていることについて、今まで気にしていなかった所で、男女の違いをはっきりさせている表現が多くあり、驚き、男女差別の根強さを感じました。社会の現状についての話の中で、まだ男の方が優遇されていたり、子育て制度が不十分であったりと、まだまだ女性に厳しい社会であり、より働きやすくなるように、制度を作り、人々が考えを変えていくことの必要性も感じました。