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男女共同参画社会の形成と展開〜世界と日本の動き(4月28日、担当:犬塚協太)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の3回目の授業が、4月28日(木)5限に行われました。

 前回、前々回に引き続き今回も犬塚センター長が担当し、主にフェミニズムの近代史における性別役割分業の歴史的展開と男女共同参画社会への転換を中心に、日本を含む世界の動きについて講義が行われました。特に、セックスという生物学的性差に社会のすべての男女の役割の根拠を求める一元的な見方からジェンダー/セックスの2つの次元を明確に区別し、社会的・文化的性規範としてのジェンダーに問題の焦点が絞られた1970年代以降の変化、さらに進んで21世紀以降、セックスをも性に関する知識という点でジェンダーの一部とみなし、ジェンダーの包括的な概念の広がりを重視する方向へ理論的な流れが変化している現状などが、フェミニズム論の歴史をふまえて概説的に論じられました。その流れを踏まえて、男女共同参画社会の実現を阻んできた大きな要因である性別役割分業というジェンダーが、近代産業社会・資本主義社会以降にどのようなイデオロギーに支えられて広まったかがあらためて確認され、20世紀中ごろまでに成立したこの性別役割分業社会のあり方に対し、特に第2波フェミニズムの思想と運動が男女のジェンダー平等の実現を求めて登場したことで、性別役割分業というそれまでのジェンダーによって作られてきた男女の不平等構造からまず女性の解放が求められて男女共同参画社会への新たな動きが1980年代以降現在まで進められてきたこと、なども説明されました。

 次回は、これまでのジェンダーから男女共同参画社会の実現が求められるようになった世界と日本の近年の動向を、男女共同参画社会づくりに関わる法制度の展開やその課題などを中心に、坂巻静佳先生(国際関係学部)により講義が行われる予定です。

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受講生の声

国際関係学部・2年・女性

 授業を通じて以前よりも視野が広くなったような気がします。私はこれまで、資本主義が経済面だけでなく、ジェンダーにも影響を及ぼしていたとは考えもしませんでした。また、当時の人々の多くは、知らないうちに"個人の幸福は愛情で作るべきだ"というイデオロギーや"良妻賢母"という考えを植えつけられ、資本主義社会の都合のいいようにコントロールされていたと聞いて恐怖を感じました。周りに流されるのではなく、状況をしっかりと把握し、自分の考えを持つ大切さに改めて気付かされました。

国際関係学部・2年・女性

 性別役割分業という考えが生まれた流れを知って、確かに合理的だと思いました。女性は妊娠・出産・子育てをすることでどうしてもブランクが出てきてしまいます。そのブランクを埋める時間より、ずっと仕事ができる男性を多く雇ってその労働力のレベルアップに時間をかけるというのは合理的であるし、愛情規範、母性イデオロギーによって女性がその気にさせられているのであればなおさらその性別役割分業という考えから抜け出しにくいのでは、と思います。男女共同参画社会をより確かなものにしていくにはまだまだ時間がかかりそうだな、と感じました。どうすれば性別役割分業という考えから抜け出せるのか、他人事ではなく自分でも考えていきたいです。

国際関係学部・3年・女性

 昔はセックスにおいて、男女を分けていたようですが、現在ですと医療技術も進歩しました。男女を変更できるようになった点において、昔と違う点がある、と思いました。私は、生きている中で「女」はどういう存在であるべきかという概念は形成・確立されているけれど、育った環境によって、人々には全く違う「女」の概念が存在しているのではないかと考えました。

 「女性は妊娠して一度仕事から離れる」という点のみで家庭を押しつけることは本当に理不尽に感じました。愛情規範、母性愛神話、現在もその言葉に習う女性も多いと思いますが、それが資本主義の中での経済のための動き・作られたものだと思うと、今までのように素直に受け止めることができないと思います。

経営情報学部・1年・女性

 ジェンダーが広義を持つということが説明を聞き詳しく分かりました。正直私自身が女性ー家事ー愛情という観念に囚われていたことに気づき自分の中のジェンダーとはこのようなものかと感じ取りました。確かに、1人の女性として私がもし母性愛神話を伝えられたら夫や子供のために人生を捧げることを選んでしまうかもしれないと思います。考え方は人それぞれだと思うけれど固定観念を持つ女性が1人でも減る世の中になることを期待します。

食品栄養科学部・1年・女性

 子供を産むことは、とてもつらいことだと聞きます。「男性が子供を産むことができないのはその痛みに耐えることができないから」とあるテレビ番組で聞きました。しかし母は言ってくれました。「子供を産むとその痛みよりもはるかにそれを超える喜びがある」と。’女性が子供を産み育てることが使命だ’それは資本主義社会のいいように言いくるめられた洗脳であるといっていましたが、これもまた洗脳されてるがうえかもしれませんが今回それを聞いたうえでも私はその使命を果たしたいと思うしどれもこれも理屈的に考えるのは嫌だなと思いました。ただし子供を産めといわれてすぐできるわけでもないし女性には相当のリスクがかかるので「子供作り機」みたいな考え方を持つ人がいなくなってほしいとも思います。

食品栄養科学部・1年・女性

 私は今回の授業まで『良妻賢母』の考え方はもっと昔の時代から、世界共通であるものだと思っていました。そして、家事、育児が上手くできる女性は素晴らしいものだとずっと思ってきました。今でも、私はできることは良いことだと思っていますが、それは妻、母、つまり女性に限定されたことではないと思います。なぜなら私は今のジェンダーが問題となっている世の中では夫や父も考えの内にいれ、なぞらえて言えば『良夫婦賢父母』の考え方が必要になるのではないかと考えているからです。