Top / 事業紹介 / 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」 / 2017年度「男女共同参画社会とジェンダー」男女共同参画社会の形成と展開〜世界と日本の動き

男女共同参画社会の形成と展開〜世界と日本の動き(5月2日、担当:犬塚協太)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の3回目の授業が、5月2日(火)5限に行われました。

 前回、前々回に引き続き今回も犬塚センター長が担当し、主に近代におけるフェミニズムの歴史的展開と男女共同参画社会への流れを中心に、日本を含む世界の動きについて講義が行われました。特に、近代が女性にとってむしろ権利の抑圧や自己実現の否定という形で、実は否定的な時代として機能した側面についての注意喚起が行われ、やがて、そうした近代における女性解放思想・運動としてのフェミニズムの動きが、フランス革命以降18,19世紀に活躍した女性たちの主張の紹介から始まっていることが語られました。さらに19世紀後半から20世紀初頭にかけて、女性の参政権獲得運動という統一的目標を掲げて大きく盛り上がった第1波フェミニズムの成果と課題が論じられ、その後終息していたフェミニズムが、1960年代アメリカ白人中産階級の主婦からの起こった「名前のない問題」への問いかけをきっかけに、私的領域での家事労働役割に固定化された女性のあり方を根源的に問い直し、性別役割分業を正当化し近代的な家父長制的男性支配を生み出してきたジェンダーという概念の発見を通して、第2波フェミニズムとして再び大きな世界的運動への展開していくプロセスが詳しく論じられました。そしてまとめとして、現在世界と日本で広がっている男女共同参画社会への流れが、その根底に男性解放も含んだジェンダーへの根源的批判の視座によって成立していることの重要性が強調されました。

 次回は、自然科学系の学部学生にも興味深いテーマとなる「自然科学とジェンダー」について、生物学者の山田久美子先生の講義が行われる予定です。

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受講生の声

経営情報学部・1年・女性

 私は現在でもまだ男女差は多くあり、女性が政治に参加はしているものの、ほぼ男性社会であったり、組織内に3人も女性がいると多いと思われたりすることがあると思う。しかしフランス革命の時代ではもっと女性に対して差別がひどかった。男性中心社会の中で男装をしてまで戦った女性や初期のころ活躍していた女性を逮捕しギロチンにかけるなど、「昔だからしょうがないよね」では済まされない酷い仕打ちがあった。第一波フェミニズムの際、英国では女性参政権を訴えるため、女性が競馬場でプラカードを掲げながら馬の前に飛び出して死んでいく人が後を絶たなかったと聞き、犠牲となった方がいるから今の社会があると思うと、このような社会でも感謝すべきなのではないかと考えさせられる。また、私は女であるがゆえに女性を被害者としてみてきたが、「女は養われているだけなのに何を文句言っているのだ」という男性の批判があったと知り、昔の女性に対する態度や差別を考えれば逆に何を言っているのだと思ってしまうが、現代では夫が働いて得た金で遊んでいる妻は少なくはないため、性別役割分業社会の中で苦しめられているのは女性だけではなく、“妻子を養うのは当たり前”などと思い込まされ自分が苦しめられていることに気付いてすらいない男性こそが一番の被害者なのではないだろうか。