Top / 事業紹介 / 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」 / 2017年度「男女共同参画社会とジェンダー」自然科学とジェンダー

自然科学とジェンダー(5月11日、担当:山田久美子)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の4回目の授業が、5月11日(木)5限に行われました。

 今回は、個別領域ごとのジェンダーの問題を扱う各論部分の1つとして、「自然科学とジェンダー」と題して、動物学者で聖隷クリストファー大学非常勤講師の山田久美子先生に、動物学から見た性、セクシュアリティ、ジェンダーの諸問題を論じていただきました。染色体や遺伝子の視点から人間の性の分化のメカニズムが解説され、間性の存在などそのきわめて多様な実態が明らかにされて、人間の性が決して男女に二分されるものではないことが示されました。また動物と人間に共通の性指向と、人間固有の性指向のさまざまなパターンが具体的に提示され、人間固有の性指向が文化や歴史に多大の影響を受けている事実、すなわちそれがジェンダーであることがあらためて強調されました。さらに、フェティシズムなどいくつかの人間特有の性指向がすべて男性のみに現れる事実から、男性に対するジェンダーによる強い抑圧がそうしたゆがみをもたらしていることが指摘された上で、ジェンダーが地域、階層などによって大きな差異を示す実態が論じられ、女性のセクシュアリティやジェンダー観が国によって多様なあり方を示す事実や、ジェンダーの階層による差の大きさ、ジェンダーがライフコースにおいて多様に転換できる社会の存在などが、具体的事例に基づいてわかりやすく解説されていきました。性の世界が私たちの想像以上に多様であることが明らかにされると同時に、それを男女二分法によって無理やり画一的な規範や制度の枠組みの中に押しとどめようとするジェンダーの問題点について、生物学の知見に基づき、多くの興味深い事例を取り上げて大変具体的でわかりやすく講義していただくことができました。

 次回は、これまでのジェンダーから男女共同参画社会の実現が求められるようになった世界と日本の近年の動向を、男女共同参画社会づくりに関わる法制度の展開やその課題などを中心に、坂巻静佳先生(国際関係学部)により講義が行われる予定です。

DSCN7201.JPGDSCN7206.JPG

受講生の声

経営情報学部・1年・女性

 今回、この授業を受けて、“アセクシュアル”という言葉を初めて聞いた。ヘテロセクシュアルやホモセクシュアルなどの単語は知っていたが、誰にも性的感情を抱かない無性愛者がいることを知り、とても驚いた。人間、動物のセクシュアルは多種多様であることも分かり、生まれもった性質であるからこそ、人と違うという偏見だけでLGBTの方々を差別することは間違っていると改めて思った。また、人間の性指向について、“フェティシズム”という言葉があるが、近年よく耳にするフェチというこの言葉には、犯罪に繋がる危険なものも多くあるので、軽視してはならないと感じた。生物学的視点から男女について考えると、どうしても性別だから仕方ないと割り切りがちになるが、実際には、そのようにはっきりとしたものでなく、曖昧なものだと実感することができた。

薬学部・1年・女性

 人間の性別がどのように決定するのか知らなかったため、驚きました。動物にも同性愛があることは耳にしたことがあったけれど、当たり前に存在しているというのは初めて知りました。フェチというのは人間独自のもので生物学的でない事は意外でした。カクレクマノミやナポレオンフィッシュといった未分化の生き物がいることを知り、動物がジェンダーに対して寛容なことの証明のように感じました。江戸時代の日本では同性愛が普通に存在していたけれど現在では違うというのは、同じ国でもその時で考えが180度変えられるジェンダーの柔軟さを感じました。