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性暴力とジェンダー~学生のためのハッピー恋愛論(7月6日、担当:伊田広行)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の12回目の授業が、7月6日(木)5限に行われました。

 今回は、「性暴力とジェンダー~学生のためのハッピー恋愛論」と題して、神戸大学・立命館大学・愛知淑徳大学等の非常勤講師でデートDV防止ファシリテーターの伊田広行先生を大阪からお招きして講義をしていただきました。

 まず、いくつかのDVの事例に触れながら、デートDVも大人のDVでも同じであり、DV関係にならないための「簡単な答え」として、夫婦観・恋愛観・家族観を変えて、グレーゾーンを意識し早い段階から修正すること、お互いが自立するシングル単位の関係、課題の分離を適切に行う関係「ゆで卵、自分ひとりで運転するスタイル、応援と共感の関係」にすることの大切さが示されました。その上で、先生が監修して制作された京都市のデートDV防止啓発DVDが上映され、デートDVの実態と問題点を的確に知ることができました。

 そして、恋愛が対等な関係に基づくものであるのに対して、デートDVが力による支配であり、相手の安心、安全、自由、自己決定、成長を奪う行為であることが説明され、デートDVレベルや種類、またグレーゾーンの段階で早くその問題性に気づいて、意識して非DVの方向へ向かうように努めることが重要であることが指摘されました。

 さらに、DVと対等な恋愛との違いについて、スクランブルエッグとゆで卵、二人それぞれが別部の車を運転するケースと1台の車に二人が乗って運転を指示されるケース、といった大変わかりやすいたとえを用いて説明がなされた後、前者のカップル単位的な関係を脱却して対等な関わりの中でお互いの成長を応援し合うシングル単位的な関係へ移行することの重要性が、アドラー心理学でも強調される「課題の分離」の重要性の視点も踏まえて詳しく論じられました。その他、ストーカー被害の実情や最新のジェンダーと暴力の社会問題としてのリベンジポルノ、SNSによる暴力被害の実態についても詳細な事例が示されて、それらの危険性が指摘され、また加害者との別れ方のポイントなどにもわかりやすい説明がなされた後、DV相談の窓口紹介や今日の授業も要点が整理されて提示されました。

 最後は質疑応答の時間が設けられ、学生からの数多くの質問にも、時間の許す限り具体的に分かりやすく回答をしていただくことができました。

 豊富な具体例とわかりやすい丁寧な説明、そして詳しい質疑応答等により、暴力という、現代の恋愛に潜む深刻で根本的なジェンダーの問題点について、出席した学生があらためて自ら認識を深めていく上で、多くの新しい視点を提供してもらえた充実した授業となりました。

 次回は、フェリス女学院大学教授の藤巻光浩先生により「マイノリティとジェンダー」の講義が行われる予定です。

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受講生の声

国際関係学部・2年・女性

 自分の経験と重なる事例があって、とても感情移入のできるテーマだった。最後の質問タイムの時に先生に質問に答えていただけて、今までもやもやしていた心がとても軽くなったし、的確なアドバイスをいただけてとてもためになった。私は幸せなことに、身の回りに自分の恋愛などについて相談できる家族や友人がいる。だから、自分だけで抱え込んだり、自分だけの世界に入り込んだりせず、第三者に相談したり、第三者の意見に耳を傾けたりすることができるのだと知って、非常に心強くなった。私ももう大人になるから、ただ勢いに身を任せて恋愛をするのではなく、しっかりと自分の意思を持ち、「ゆで卵型」、「シングル型」の関係を築いていく努力をしていこうと思った。

食品栄養科学部・1年・女性

 客観的な立場から考えると、DVについて自分は絶対にそうはならないという自信を誰もが持つだろう。しかし、いざ自分がその状況になると、冷静に考えることは難しくなると思う。周囲の友人に気付いてもらうことが一番の逃げ道になる。お互いに尊重でき、周囲に理解してもらえる関係を築ける人を大切にしたいと思う。

薬学部・1年・女性

 DVと聞くと何か危なそうなものという抽象的なイメージしかありませんでしたが、今回具体的な話を聞くとそんなことまでもグレーゾーンとして捉えられることなのかと驚きました。シングル単位という考え方は少し意外でした。カップル単位が理想的な関係性であるようなイメージだったのでそれがデートDVにつながってしまうということを知ることができてとても良かったと思います。