Top / 事業紹介 / 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」 / 2017年度「男女共同参画社会とジェンダー」マイノリティとジェンダー~特別講義とミニ・コンサート

マイノリティとジェンダー~特別講義とミニ・コンサート(7月20日、担当:会津里花)

全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の14回目の授業が、7月20日(木)5限に行われました。

 今回は、「マイノリティとジェンダー~特別講義とミニ・コンサート」と題して、「一五一会」インストラクター/ベーシストで、トランスジェンダーの会津里花さんをお迎えして、マイノリティとジェンダーについての特別講義と自作の歌を中心とするミニ・コンサートを行っていただきました。

 はじめに、犬塚センター長の紹介の後、特別講義として、一五一会の演奏と自作の歌を織り交ぜながら、会津さんによるトランスジェンダー(MtF)としての自分の人生のさまざまな体験と思いとが語られました。

 会津さんからは、まず、2003年に成立した性同一性障害に関するいわゆる特例法によってGIDにも戸籍の性別変更が可能になったことやご自身の性別変更への思いが語られ、しかし戸籍法はあくまでもGID当事者に単独戸籍を作ることを求めており、その意味では戸籍法上GID当事者はホームレスと同様の差別を受けていることが指摘されました。また選挙のたびに投票所において性別について受けてきた経験についても具体的に問題点が示されました。そして、1969年のブルーボーイ事件判決などの事例を挙げながら、性別の変更に対する社会の厳しい対応が、性的マイノリティ当事者にとって自分の生き方の否定につながっており、当事者を排除するという問題を生み出してきた日本社会の歪んだあり方が指摘されました。そして、自分のこれまでの人生のプロセスを通して、自分の否定につながる低い自己評価を生み出してきた家族との関わりや子ども期の経験が語られ、トランスジェンダーとして、どのような生き方を経験してこられたか、その中で自らの現在の立場をどのように見出し築いていかれたかが詳しく語られました。また、自作の歌を通して、たとえば、変えることのできるものを変える勇気と、変えることのできない者を受け入れる落ち着き、そして、その両者を見極める賢さを望むという、「ニーバーの祈り」のメッセージの意味が学生たちに力強く伝えられました。その上で、自分が男性でなくなって初めて気づいたことがたくさんあり、特に現代の社会には構造としての男女差別が明確に存在すること、それが容易には変革できないことを指摘された後、それでも男性には「男性に軸足を置いたままでもそうした問題には気づけるし、ぜひ気づいてほしい」、女性には「そうした差別の前で決してあきらめてほしくない」という強いご自身の思いが伝えられました。その他にも学生に感じ受け止めてほしい多くのメッセージがさまざまに語られました。

 合間には自作の歌の演奏も織り込まれ、受講した学生たちは、会津さんの率直で明るくわかりやすい語りと、さまざまな思いのこめられた素晴らしい歌を楽しみながら、マイノリティとジェンダーについての課題の広がりの大きさと大切さについて、あらためて認識を深めることができました。

 次回は、授業全体を振り返りつつ、ゲストのメンター方々のお話を参考にして、ジェンダーの視点から、学生自身に自分の将来のキャリア形成を考えてもらうメンターカフェを行って、授業のまとめとしていく予定です。

DSCN7864.JPGDSCN7870.JPG