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労働とジェンダー(5月31日、担当:居城舜子)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の7回目の授業が、5月31日(木)5限に行われました。

 今回は、「労働とジェンダー」と題して、NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか理事、元常葉学園大学教授の居城舜子先生をお招きして講義をしていただき、最もジェンダーによる差別が激しく、他の領域への影響も大きい労働という領域の課題について、さまざまな角度から論じていただくことができました。

 授業は、「女性労働の現状と課題」が副題として掲げられ、現代日本の女性労働を取り巻く諸問題が多くの統計的データや資料に基づいて、実証的かつ批判的視点から論じられました。はじめに、「働き方改革」関連法案が衆議院を通過するというタイミングで行われたこの日の授業の冒頭に、現政権が進めている働き方改革の動きが、労働への規制緩和と規制強化の両面の特徴を持った矛盾した政策の進行であることが鋭く指摘された後、女性労働の現状について、日本の女性労働の基本的特徴として男性のみに適用される労働市場における日本的雇用と家族における性別役割分業というシステムが指摘され、それらが現在労働市場と家族の双方の大きな変化に伴って女性労働の多様化というべき状況を作り出し、女性労働の不安定化や包摂と排除・格差の同時進行という複雑な事態が進む中で、政策による格差や貧困の対策としての社会保障が不十分な現状の問題点が詳しく論じられました。

 そして、具体的には、未だに6割が離職しているという出産後の女性の就業継続困難の実態や、潜在的就業希望女性が315万人にも上る現実、コース別雇用管理のもとで総合職への女性採用率の低さや就業継続の困難さが指摘され、それらが低い女性の管理職比率を生み出しているという構造的要因が説明されました。また格差解消にはほど遠く先進国の中でずば抜けて少ない女性管理職比率という職場の現状、働く女性の多くが陥っている貧困の深刻な実状などについて詳しく説明がなされ、格差というより性差別が定着している日本の労働現場の深刻な課題が明示されて、法律の整備にもかかわらずまだ残るその対策の不十分さが強調されました。さらに、静岡県における女性労働の現状から見える特徴として、管理職比率が全国最下位グループであり、製造業中心の産業構造がそうした状況を生む要因もなっている実態が指摘されました。そして、こうした労働市場における女性差別がこれまでの日本的雇用のあり方そのものに由来する構造的問題であり、小手先の改革ではそこからの脱却が難しいこと、両立支援やワークライフバランス支援だけでは女性管理職比率は増えず、そこに女性のキャリア形成に関するもっとポジティブ・アクション的な支援が必要なこと、などが論じられ、女性差別を克服する新しい日本の労働のシステムへの根本的変革をめざして、労使の対話と社会的合意を達成しつつ、現在の政策の不備を的確に批判していく改革の大切さが強調されて授業が結ばれました。

 これから社会へ出て労働市場に進んでいく学生諸君にとっては、自分たちの将来に直結する課題を深く考えさせられる契機となる講義となりました。

 次回は、「結婚・家族とジェンダー」について人口問題の視点から、本学学長で歴史人口学の第一人者である鬼頭宏先生が講義される予定です。

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受講生の声

国際関係学部・2年・女性

 静岡県の産業別に見た役職者に占める女性の割合のグラフからは、静岡県では金融業とサービス業において女性が多く働いていることを知った。一方で、静岡市の職員や公立学校の校長・教頭においては、女性の数が全国で最下位のレベルであることを知り、とくに教育現場で女性が少ないというのは残念だと思った。県内にある興津螺旋や三笠運輸といった中小企業では、女性が多く活躍していると聞き、大都市だけでなく地方でも、働き方改革や女性の雇用に積極的な企業が少しずつ増えてきているのではないかと感じた。私が就職活動をする際には、小さな会社であっても働きやすさに手厚く配慮してくれるような会社に注目するべきだと思った。

国際関係学部・2年・女性

 県大を卒業した女性がネジ工場の事務員として働いていたけれど、螺旋のネジの構造に興味を持って、自ら作り手の方に志願して大活躍し、その会社の雇用形態も変わったという話を聞いて、社会に変化を求めるよりも先に、自らも積極的にこの職種は男性しかいないから自分には無理だとか、女なら管理職にはなれないし、子育てもあるから仕事にそこまでこだわりを持つ必要もないなどと、はなから諦めずに、余計な固定概念を取り払って、これからの就職活動を見つめ直そうと思いました。

食品栄養科学部・1年・女性

 未だに女性は出産後に仕事を続けるのが難しく、6割もの人が離職しなければならない状況であることは残念なことだと思った。女性の採用時の総合職の数が少ないというのは、育休などの問題によって10年後の離職率が高いのも原因の一つなんだろうなと思った。しかし、それはそれぞれの企業が総合職の女性に十分に育休休暇を与えるなどして、解決できる問題なのではないかと思う。

 男女間の賃金格差も昇進などの格差によって100:74とまだまだ格差があり、雇用形態格差は100:57ともっと格差があるので、この格差を何とかすべきではないかと思う。内閣府の見える化サイトでは従業員301人以上の企業の行動計画(義務)の開示をしており、女性の就業継続に効果があるということなのでいいことだと思った。しかし、管理職比率の増加にはあまり効果がないので、新たな対策が必要ではないかと思う。仕事間の男女格差を無くすためには、企業がもっと女性の管理職の数を増やしたりと男女間格差を無くすことができるように努力していくことが大切ではないかと思う。