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市民活動とジェンダー(6月14日、担当:松下光恵)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の9回目の授業が、6月14日(木)5限に行われました。

 今回は、「市民活動とジェンダー」と題して、元静岡市女性会館館長で、現在はNPO法人男女共同参画フォーラム静岡代表理事の松下光恵先生をお招きして、市民としての立場からの男女共同参画との関わり、指定管理者としての女性会館運営活動の経験と特色、その他の活動などについてさまざまな角度から講義をしていただくことができました。

 はじめに、日本の男女平等の現状や男女共同参画への歩み、「市民活動」の定義などに触れられた後、自らの人生を振り返り、最初専業主婦として、その後仕事と家庭を両立する働く女性としてのご自身の歩みを通して、自分の悩みは個人的なことではなく、女性の自己責任とは関係ない社会のジェンダーの仕組みが生み出した課題であると気づかれた経緯が論じられました。そして、NPO活動で感じた3つの事柄~「自分が担う」という主体性、「やりたいことではなく求められることに挑む」という社会の課題やニーズを自覚した問題意識、「ボランティアではない働き方を創る」という現実を見据えた視点、が示され、ソーシャルビジネスに挑戦する女性などが現れてきている市民活動の最新の動向が紹介されました。そしてチャンスとして捉えた指定管理者制度による取組を通して明らかになってきたこととして、生活困難リスクを抱える人が増える一方で、生産年齢人口減少により税収が低下している静岡市の現状と将来像を踏まえ、行政頼みではなく、課題解決型事業へ挑戦することの意義が強調され、市民として何をやるかが大切という問題意識が示されました。そして、男女共同参画社会づくりを市民の立場から実践するNPOとしてその創立から参加してこられた男女共同参画フォーラム静岡が指定管理者として運営を担ってきた静岡市女性会館について、その概略や活動内容が動画などを使ってわかりやすく紹介され、女性会館での活動の主眼を課題解決型事業においてこれまで実践してこられた「女性カレッジ」や「Jo-Shizuメンターバンク」などさまざまな事業の内容が紹介されました。さらに、近年NPO法人の責任者の立場から男女共同参画の裾野を広げる目的で運営してこられた「地域デザインカレッジ」について、ソーシャルビジネスに挑戦する人、ソーシャルセクターで働く人の出現を受け、新しい連携の可能性を探りながら事業によって静岡の地域問題を解決する人材の育成に努力されてきた成果について、これも動画を使ったさまざまな市民活動実践の具体的事例の紹介を通して、男女共同参画の裾野の広がりについての可能性と期待を示唆してもらうことができました。また、本学の学生たちも参加して実施されている、家庭の置かれた経済状況のために勉強したくてもできない中学生たちへの学習支援をボランティアで行う「静岡学習支援ネットワーク」の活動にも、これまでのネットワークを活かして取り組んでおられることなどが説明されました。そして最後に、日頃から男女共同参画の視点を中心に、地域の多様な組織と連携しながら学生のうちに主体的関心をもって市民活動に関わることの大切さを強調されて講義をまとめられました。

 男女共同参画社会づくりへの高い志、やりたいことに自己満足せず求められることを自ら発見して社会の課題に応えようとする姿勢、人と人とのネットワークをどんどん拡大し新しい取組に果敢にチャレンジされる方法という、3つの特徴から市民活動の原点を示していただき、ジェンダーから解放された市民による地域活動の目覚ましい成果に触れる機会をいただいた有意義な講義になりました。

 次回は、NPO法人男女共同参画フォーラム副代表理事で元静岡新聞社編集局文化生活部専任部長の川村美智先生と、静岡新聞社経済部記者の石井祐子先生により「マスメディアとジェンダー」の講義が行われる予定です。

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受講生の声

食品栄養科学部・1年・女性

 戦前の女性には参政権がなく、投票が出来なかったというのは知っていたが、相続権や教育権、労働権までもがなかったことに驚いた。本当に男女間の格差がとても大きかったということがよくわかった。

 世界経済フォーラムによると日本の男女平等指数は144ヵ国中114位というのにも驚いた。先進国の中では最低レベルというのは聞いたことがあったが、中国やギニアにも負けているというのには驚いた。もっと深刻に男女平等について考え、改善していく必要があると思う。

 地域活動でも性別役割分担があり、PTAも町内会も長は男性だが、実働は女性である。これは女性にも担うという思いの欠如があることも考えられる。そのため、女性一人ひとりがもっと自分が担うという主体性を持つことが必要だと思う。男女間の格差を無くしていくためには、社会が格差をなくそうと努力することも必要だが、女性自身が行動していくことも重要だと思う。

国際関係学部・3年・女性

 サークル活動等で、女性会館をよく利用していますが、今回紹介していただいたように、多くの講演会やイベントが同施設で行われていることは知りませんでした。少し周りに目を向けると、こんなにもすぐ近くで多彩な活動が展開していることに驚きました。また、自分が「社会のこういうところに引っかかる」と感じれば、それを相談・共有することができる存在も近くにあることが分かり、安心しました。自分もサークルでは、地域に関わる活動をしていて、主体的に取り組むことの大事さや、問題意識を常に持ち仲間とそれらを共有する大切さを学んでいます。松下さんのお話を聞いて、自分たちのサークルの存在意義など、改めて考えたいなと思いました。

看護学部・1年・女性

 松下先生がおっしゃっていたように、市民活動と聞くと過激な運動のイメージを抱きがちですが、小さなことから始め、理解を得て広げていくということはとても大切だと思いました。とりわけジェンダーは無意識のうちにつくられるものなので、1人1人に自分の考え方に気づいてもらい、変えていく活動は、根本的な問題解決につながると思います。しかし、女性中心の活動は、男性の理解や協力を得られにくいと思います。ジェンダー問題に触れやすいようなイベントや講座を増やし、続けていくべきだと思いました。

経営情報学部・1年・女性

 今回は市民活動として様々な団体が活動していることを初めて知った。その中には私も参加しているsssや、実際に講座を受けたことがある団体もあった。日本の男女平等指数が144か国中、114位だということを知り、以前所の授業の”労働とジェンダー”について思い出した。その中で、ジェンダー解決には数十年必要になるということや、静岡県は女性にとって働きづらいと聞いたがきっとこのような市民活動が少しでもこの現状を良くしてくれているのだと思う。しかもボランティアではなく事業として活動できるのなら一層活発になれるのだろう。自分たちがやりたいことと地域で必要とされていることが一致せず大変なことも多いだろうが、私もsssのメンバーとして市民活動に参加している身として必要とされていることを考えながら積極的に活動していきたい。