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LGBTとジェンダー~特別講義とミニ・コンサート(7月19日、担当:会津里花)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の14回目の授業が、7月19日(木)5限に行われました。

 今回は、「LGBTとジェンダー~特別講義とミニ・コンサート」と題して、「一五一会」インストラクター/ベーシストで、トランスジェンダーの会津里花さんをお迎えして、LGBTとジェンダーについての特別講義と自作の歌を中心とするミニ・コンサートを行っていただきました。

 犬塚センター長の紹介の後、特別講義として、一五一会の演奏と自作の歌を織り交ぜながら、会津さんによるトランスジェンダー(MtF)としての自分の人生のさまざまな体験と思いとが語られました。

 会津さんからは、まずご自身の家族との関わりや、MtFとして人生を歩み始められる前後の経緯などが語られました。そして、日本社会のジェンダーをめぐる20世紀の歴史の概観が語られ、20世紀の前半が戦争の時代であったとすれば、その後半は戦争後遺症の時代であったという見解が示され、現在しばしば述べられるイメージとその実態は異なり、日本が明らかにジェンダー後進国であり、少年犯罪と同様、現在よりももっと性犯罪も多く行われていた事実が述べられました。そして、ご自身が少年時代に受けながら忘れていた性犯罪の経験を、どのような経緯で思い起こし、その問題に向き合ってこられたかが切実に語られ、ジャーナリストの伊藤詩織氏をめぐるレイプ事件やMe Too運動との関連の中で、自分が今ようやく被害者として怒れるようになったこと、性暴力被害者が正しく怒る事の大切さ、そして、被害者の責任を問う言説の誤りと加害者をなくすことこそが本来必要な問題意識であることが、はっきりと語られ、強い思いが伝わるメッセージを聞かせていただくことができました。

 そして後半では、ご自身のライフコースや家族との関わりを再び取り上げながら、MtFとしての今の自分から振り返って、自分が男性であったことは間違いと受け止めていること、しかし、そのことは決して無駄ではなく、むしろ間違っていたという意味は自分を大切にできなかったことだという見方が示されました。その上で最後に学生たちに向けた一番伝えたいメッセージとして「自分を大事にしてほしい」という言葉が語られ、自分のあり方をまずは大事にすることができてはじめて、それと同じように隣人を大事にすることができる、という見方が強調されて、全体が閉じられました。

 合間には自作の歌の演奏も織り込まれ、受講した学生たちは、会津さんの率直な語りと、さまざまな思いのこめられた素晴らしい歌を楽しみながら、マイノリティとジェンダーについての課題の広がりの大きさと大切さについて、あらためて認識を深めることができました。

 次回は、授業全体を振り返りつつ、ゲストのメンター方々のお話を参考にして、ジェンダーの視点から、学生自身に自分の将来のキャリア形成を考えてもらうメンターカフェを行って、授業のまとめとしていく予定です。

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受講生の声

国際関係学部・2年・女性

 実際にセクシャルマイノリティーという立場にいる会津里花先生の話を聞いて、改めてジェンダーとは男女の差をなくすとか自然に逆らうとか、そういうことではなくて、みんなで多様性を認めていこうということなのだと思いました。幼少期に受けた性的虐待を、大人になってからそれに近い出来事があって思い出し、今やっと#metoo運動の流れで怒ることができるようになったという話を聞いて、嫌な体験を思い起こして必死に訴えている方々がたくさんいるのに、まだまだその被害者が矢面に立って叩かれてしまう状況があるので、社会がジェンダーの問題に適切に対応できるように変わっていかなければならないと思います。