LGBTとジェンダー② 特別講義とミニ・コンサート(7月25日、担当:会津里花)
全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の14回目の授業が、7月25日(木)5限に行われました。
今回は、「LGBTとジェンダー②~特別講義とミニ・コンサート」と題して、「一五一会」インストラクター/ベーシストで、トランスジェンダーの会津里花さんをお迎えして、LGBTとジェンダーについての特別講義と自作の歌を中心とするミニ・コンサートを行っていただきました。
犬塚センター長の紹介の後、特別講義として、一五一会の演奏と自作の歌を織り交ぜながら、会津さんによるトランスジェンダー(MtF)としての自分の人生のさまざまな体験と思いとが語られました。
会津さんからは、まず戦後1960年代の男娼摘発やマスコミによる「性転換手術は違法」という報道などに接して、思春期を自己否定の旅として過ごした経験を皮切りに、ご自身の半生を振り返りながら、トランスジェンダー当事者としての人生で起こった重要なライフイベントや家族との関わりを中心に、性別適合手術を受け戸籍変更にまで至られた経緯が語られました。そして、ご自身が少年時代に受けながら忘れていた性犯罪の経験を、どのような経緯で思い起こし、その問題に向き合ってこられたかが切実に語られ、性暴力が被害者に与える深刻な傷の問題を強く訴えられました。
そして後半では、ご自身のライフコースや家族との関わりを再び取り上げながら、ご自分の20世紀までの人生では、自分を大切にすることに失敗してきたこと、人は暗闇の中でも光しかない中でも共に生きられず、その意味では中途半端な存在だが、しかしそうした自分のあり方を肯定し、それを大事にすることに大きな意義があることが切々と語られました。その上で最後に学生たちに向けた一番伝えたいメッセージとして「自分を大事にしてほしい」という言葉が語られ、全体が閉じられました。
合間には自作の歌の演奏が織り込まれ、受講した学生たちは、会津さんの率直な語りと、さまざまな思いのこめられた素晴らしい歌を楽しみながら、LGBTとジェンダーについての課題の広がりの大きさと大切さについて、あらためて認識を深めることができました。
次回は、最終回として授業全体を振り返りつつ、ゲストのメンター方々のお話を参考にして、ジェンダーの視点から、学生自身に自分の将来のキャリア形成を考えてもらうメンターカフェを行って、授業のまとめとしていく予定です。