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2016年度男女共同参画社会推進センター講演会「性(ジェンダー)と暴力~学生のためのハッピー恋愛論~」が開催されました

  2016年度男女共同参画社会推進センター講演会「性(ジェンダー)と暴力~学生のためのハッピー恋愛論~」が、6月30日(木)午後4時20分~5時50分、一般教育棟2103室にて開催されました。

 この講演会は、学生に広く現代社会のデートDVをはじめとする性と暴力の実態とその特質を中心にジェンダー論の視点から問題提起を行い、身近なテーマとしての恋愛を通して、学生自身にジェンダーやマイノリティの視点によって自らの生き方や社会のあり方への認識を深めてもらう目的で、本センターが静岡市女性会館と共同で開催する講演会です。また全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の授業の一環としても位置付けられています。

 出席学生はおよそ150人、静岡大学からの参加希望学生まで駆けつけるなど盛況となりました。

 講師には、立命館大学の非常勤講師で、ジェンダーの視点で労働問題、社会政策を研究され、デートDV防止ファシリテーターとして全国的に活躍しておられる伊田広行先生を大阪からお招きして、90分にわたり講義と質疑応答を行っていただきました。

 講義では、まず、各種ハラスメント、DV、いじめなどには暴力=支配という共通の根っこがあり、現代社会の生きづらさの背景としてそこには「主流秩序」へのとらわれが根本にあって、それを構成するさまざまなサブ秩序のひとつとしてジェンダー秩序=家族単位システムが存在していることが指摘されました。そして社会にあふれている暴力容認間隔の中で、身近なところから社会のために、そして自分の生き方として、できることをしていくことの大切さが強調されました。

 続いて、そうした基本的な視座を踏まえて、性(ジェンダー)に関わるさまざまな暴力行為の実態が具体的な事例とともに詳しく紹介され、特に最近の恋愛の実態としてのデートDVの定義や典型例の紹介などが行われました。そして、恋愛が対等な関係に基づくものであるのに対して、デートDVが力による支配であり、相手の安心、安全、自由、自己決定、成長を奪う行為であることが説明され、デートDVレベルや種類、またグレーゾーンの段階で早くその問題性に気づいて、意識して非DVの方向へ向かうように努めることが重要であると指摘されました。

 さらに、DVと対等な恋愛との違いについて、スクランブルエッグとゆで卵、二人それぞれが別部の車を運転するケースと1台の車に二人が乗って運転を指示されるケース、といった大変わかりやすいたとえを用いて説明がなされた後、前者のカップル単位的な関係を脱却して対等な関わりの中でお互いの成長を応援し合うシングル単位的な関係へ移行することの重要性が論じられました。その他、最新のジェンダーと暴力の社会問題としてのリベンジポルノや、SNSによる暴力被害の実態についても詳細な事例が示されて、それらの危険性が指摘され、また加害者との別れ方のポイントなどにもわかりやすい説明がなされた後、DV相談の窓口紹介や今日の授業も要点が整理されて提示されました。最後は学生によるワークのためのデートDV事例の資料の解説が行われてから、質疑応答の時間が設けられ、学生からの数多くの質問にも、時間の許す限り具体的に分かりやすく回答をしていただくことができました。

 現代の恋愛に潜むジェンダーと暴力という根本的な問題点について、出席した学生があらためて自ら認識を深めていく上で、多くの新しい視点を提供してもらえた充実した内容の講演会となりました。

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