2019年度男女共同参画社会推進センターLGBT啓発講座「しあわせ社会は認め合いから」が開催されました
2019年度男女共同参画社会推進センターセミナー、LGBT啓発講座「しあわせ社会は認め合いから」が、7月4日(木)午後4時20分~5時50分、小講堂にて開催されました。
この啓発講座は、広く学生、教職員を対象に、一人ひとり異なる性のあり方を理解し、違いを認め合うことを目的に、LGBT当事者24名のリアルな声が収録された映画「自分が自分らしく生きるために」の上映と、当事者・支援者による講義によるセミナーとして、静岡県人権啓発活動ネットワーク協議会とGet in touch、とともに、本学男女共同参画推進センターが主催するものです。
出席学生はおよそ180名、学内の教職員やマスコミ関係者等も含め、ほぼ満席状態で、盛況なセミナーとなりました。
講師には、早稲田大学職員で一般社団法人Getin touch事務局メンバーの渡邉あき先生と、鶴見大学短期大学部保育科准教授で同じくGet in touch理事の河合高鋭先生をお招きし、LGBT当事者、支援者それぞれお立場から、一人ひとり異なる性のあり方の理解とそうした違いの相互承認を中心に、映像とトークを交えて幅広くLGBTに関わる諸問題を論じていただくことができました。
セミナーでは、はじめに、お二人それぞれの自己紹介、Get in touchの活動内容などが語られた後、渡邉先生からセクシュアル・マイノリティの総称の1つとしてのLGBT概念やそれが使われるようになった背景、SOGI(性的指向と性自認)といった多様な性の基礎概念の説明がなされました。そして、人間の性別、セクシュアリティを決定する4軸として、①自認する性、②からだの性、③好きになる性、④表現する性の意味が示されそれぞれの内容について詳しい解説がなされた後、人間の性は性的なグラデーションとして理解できること、性のあり方は人の数だけ存在し、自ら自分の性のあり方を知り尊重することとの大切さが論じられました。さらにLGBTの人の割合が約3~10%とAB型の人や左利きの人の割合と同じくらいであって、その人たちの存在が私たちに見えていないだけ、知らないだけに過ぎないこと、私たち皆がこの問題を考えていくことで、他者との性の違いに悩む人は自分を否定的にとらえないようにでき、違いを知らない人には自分の自分らしさを知る機会を提供できることが説かれました。
その後、LGBTの分かりやすい解説と、当事者24名のリアルな声が収録された映画「自分が自分らしく生きるために」が上映され、当事者一人ひとりの生活、葛藤、苦しみ、喜びなどさまざまな実情がストレートに伝わる内容に、多くの出席者は深くしっかりとそうした人々の多様な思いを受け止めることができました。 そして、お二人の講師から、LGBTをめぐる世界の情勢や、企業、自治体の取組状況、教育、就労、医療等に関わる当事者の困りごとの事例などが紹介され、もし当事者からカミングアウトを受けた時の対応の注意点、LGBTに関わる諸問題について今から学生が取り組めることなどが論じられました。そして最後にまとめとして、無知と不寛容を取り除けば世界はもっと優しくなれること、今は私たちが自らどうありたいかを決める時代であり、誰もが自分らしく生きる「まぜこぜの世界」をめざして若い人たちに自分にできることを考えてほしいとの力強いメッセージが伝えられ、セミナー全体が締めくくられました。
学生、教職員の立場を超えて、それぞれが自分の性のあり方を見つめ直し、自他の性のあり方を認め合う多様性に富んだ社会を目指して、それぞれの立場で取り組むことの大切さを深く認識できた貴重なセミナーとなりました。