2012年度男女共同参画推進センター講演会「学生のためのハッピー恋愛論---カップル単位からシングル単位へ---」が開催されました
2012年度男女共同参画推進センター講演会「学生のためのハッピー恋愛論---カップル単位からシングル単位へ---」が、6月7日(木)午後4時20分〜5時50分、一般教育棟2107室にて開催されました。
この講演会は、学生に広く現代社会の恋愛・結婚・家族の実態とその問題点についてジェンダー論の視点から問題提起を行い、身近な問題としての恋愛や結婚を通して、学生自身がジェンダーやマイノリティの視点によって自らの生き方や社会のあり方への認識を深めてもらう目的で、本センターが静岡市女性会館と共同で開催する講演会です。また全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の授業の一環としても位置付けられています。
出席学生はおよそ120人、教室もほぼ満室の盛況ぶりとなりました。
講師には、神戸大学・立命館大学非常勤講師で、ジェンダーの視点で労働問題、社会政策を研究され、デートDV防止ファシリテーターとして全国的に活躍しておられる伊田広行先生を大阪からお招きして、90分にわたり講義と質疑応答を行っていただきました。
講義では、まず、「第1章 恋愛の実態 デートDV」として、最近の恋愛の実態としてのデートDVの現状について実際の事例紹介が行われ後、デートDVが力による支配であり、相手の安心、安全、自由、自己決定、成長を奪う行為であることが説明され、デートDVレベルや種類、また、なぜ相手と別れられないのかの根拠等が具体的に論じられました。
続いて、「第2章 背景の大きな問題」として、このような現代の恋愛実態の背景には、そもそも現代の社会が教える恋愛観、結婚観自体に「カップル単位」という観念が存在しているという大きな問題があることが指摘され、そこから「パートナーがいて幸せ」「愛する二人は一体」といった個人の自立を否定する価値観が生じ、ひいては家族単位社会やジェンダーと貧困といった問題が生み出されていることがわかりやすく論じられました。
さらに、「第3章 どうしたらいいか」では、それに対する対案として、対等な関係性を作り出すためには、これまでのカップル単位の発想による恋愛観から脱却し、恋愛を相対化して、あくまでも「ひとり=自立」を基本とする「シングル単位」の社会をめざし、多様な人が多様に、平等に生きられる社会を築いていくことの重要性が説かれました。
続いて質疑応答の時間では、学生からのさまざまな質問にも熱心に答えていただき、現代の恋愛や結婚に潜む根本的な問題点について、出席した学生があらためて自ら認識を深めていく上で、多くの新しい視点を提供してもらえた充実した内容の講演会となりました。
質疑応答
講演終了後に、受講生からの質問を募集し、講師の伊田先生にご回答いただきました。