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性暴力とジェンダー(7月4日、担当:伊田広行)

 全学共通科目「男女共同参画社会とジェンダー」の13回目の授業が、7月4日(木)5限に行われました。

 今回は、「性暴力とジェンダー」と題して、神戸大学・立命館大学非常勤講師でデートDV防止ファシリテーターの伊田広行先生を大阪からお招きして講義をしていただきました。まず、最近の恋愛の実態としてのデートDVの現状について実際の事例紹介が行われ後、デートDVが力による支配であり、相手の安心、安全、自由、自己決定、成長を奪う行為であることが説明され、デートDVレベルや種類、また、なぜ相手と別れられないのかの根拠等が具体的に論じられました。

 そして、このような現代の恋愛実態の背景には、そもそも現代の社会が教える恋愛観、結婚観自体に「カップル単位」という観念が存在しているという大きな問題があることが指摘され、そこから「パートナーがいて幸せ」「愛する二人は一体」といった個人の自立を否定する価値観が生じ、さまざまな問題が生み出されていることがわかりやすく論じられました。さらに、それに対する対案として、対等な関係性を作り出すためには、これまでのカップル単位の発想による恋愛観から脱却し、恋愛を相対化して、あくまでも「ひとり=自立」を基本とする「シングル単位」の社会をめざし、多様な人が多様に、平等に生きられる社会を築いていくことの重要性が説かれました。

 講義の後、学生からのさまざまな質問にも熱心に答えていただき、現代の恋愛や結婚に潜む根本的な問題点について、出席した学生があらためて自ら認識を深めていく上で、多くの新しい視点を提供してもらえた充実した授業となりました。

 次回最終回は「一五一会」演奏家でGID当事者である会津里花さんをお招きして、「ジェンダーとマイノリティ、ゲストトーク」の講義とミニコンサートが行われる予定です。

質疑応答

 講義終了後に、受講生からの質問を募集し、講師の伊田先生にご回答いただきました。

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受講生の声

国際関係学部・2年・女性

 この授業を受けて、初めてデートDVというものを知りました。先生のおっしゃっていた通り、まずこのデートDVを知ることがそれを防ぐための第一歩だと思います。

 多少の嫉妬や束縛は好きだから仕方ないという考え方は私ももっていたし、みんなもそうだと思い込んでいて、それが間違っているということに大きな衝撃を受けました。でも、嫉妬や束縛してしまうことが相手の権利を侵害し、成長を止めてしまっているということにはとても納得でき、私自身が加害者にならないように気をつけようと思いました。また、付き合った彼にデートDVの傾向があった場合は、やめてと言えるようにしたいです。

 デートDVの被害をなくすためにも、知らない子がいたら教えたり、悩んでいる子がいたら話を聞いて一緒に解決していくよう心がけます。自分のため、自分の好きな人のため、今回の授業を受けることができ本当に良かったです。ありがとうございました。

国際関係学部・1年・女性

 私は今回の授業は、いつもに増して興味深い内容でした。今回の授業はデートDVについてのお話で、今まで私はデートDVについて詳しく分かっていなかったのですが、授業を受けてデートDVが本当はどういうものなのかということがよく分かり、今まで以上に興味・関心が湧きました。そこで、私は今回多くの意見を持ちました。一つ目は、デートDVの加害者にほとんどの人がなりかけているということについてです。伊田さんによると、少しのやきもちですらデートDVになってしまうそうです。それを聞いて私自身も気を付けなくてはいけないと思いました。この問題の解決策は、二人で話し合うことなので、もし私も少し相手に気持ちを押し付けすぎたと思うことがあったらお互いで納得いくまで話し合おうと思いました。二つ目は、カップルとはいえ、一人が基本。ということです。これを聞いたとき、私は、まさにその通りだと強く共感しました。いくら付き合っているとはいえプライバシーは誰にでもあります。お互いのプライバシーは守りつつ尊敬しあっている関係が理想的だと思いました。

 今回の授業で共通して言えることは、お互い信頼し合うことが大切だということです。だからこれからはお互いに意見を言い合い信頼関係を築いていきたいと思いました。

国際関係学部・1年・女性

 私は今までDVというと「暴力」ということをすぐに想像していたが、今回の話を聞いて、「相手の権利を侵害すること」がDVであると分かり、同時にそのようなことをDVと呼ぶのならば、DVは意外にもいろいろな所で起こっているのではないかと思った。

 今回、「恋愛を美化しすぎないことが大切だ。」ということも教えていただいたが、やはり恋人関係になった以上、相手と共にいたい、相手に自分だけを見て欲しいと願い気持ちは多くの人に存在すると思う。しかし、そういう時でも、常に、自分だけでなく「相手」を主体的に考えて、お互いが高め合っていくことの出来る関係を築くことが最も大事なのだと思った。また、私は恋愛に対して美化して考えすぎていると思うので、もう少し恋愛というものを楽にとらえ、「ひとりが基本」であるということを意識して生活していきたいと思った。

薬学部・1年・男性

 相手のことに集中して、怒りを向ける。最初は好きで付き合い出すと思うが、どこかで歪んでしまうんだと思う。私はゆがんでからでも止められて、元に戻せると思う。加害者だと感じたら、やめて謝るだけでも変わるではないか?また、これからの人間関係作りに役に立つと思う。

 「被害にあってしまったら、友人や、信頼できる人に相談しよう。」先生の案に賛成だ。一人だと、私も何かアクションを取るのは難しい。協力するのが大事だ。また、気が強いなら、面と向かって強い口調で言うのもいいと思う。彼女の持ったことのない私がこんなことを書いてしまっていいのか分からないが、今回の話を大切にし、人と付き合っていきたいです。

国際関係学部・2年・女性

 束縛、やきもち、わがままと、デートDVの境界が非常に難しいように感じられた。例えば先生は“交際相手がいるにもかかわらず合コンへ行くことを一方が嫌がる、とめる“という行為をデートDVのひとつである、とのように言っていた。しかしそれはデートDVというよりも男女が真剣に交際しているのならばそのような場へ行くことは常識的に考えておかしいと思うし、講義を受けていない友人にこの話をしたところその友人たちもみな、それはデートDVとは別物なのではないかと言っていた。もちろん専門の先生が講義してくださったものであるため間違いではないと信じたい。しかし真剣に交際している大学生にとってはあまりにも偏りすぎているように思えた。それをすべて飲み込んで、付き合い方にひびが入ることもありえるのではないかと思った。今回先生があげてくださった事例をすべてデートDVとするのなら、そのようなことを体験したことのある学生、人々は多数いるだろう。実際私のまわりにも存在する。嫉妬によって相手を怒ってはいけないというのであれば、例えば浮気なども許されてしまうのではないだろうか。お互いが多少我慢しあうことはもちろん必要ではあるが、一方が不安に思い傷つくような関係には疑問を感じた。

 以上のことも総じて、自分の中では深く掘り下げて考えることができたため、とても影響力のある授業であると思った。